本日は身体検査の日

定期的に受けなければならない身体検査は、毎回憂鬱になる


いまのところわたしは、レベル5なので世間的には問題ないのだが、個人的には大有りなのだ


「どうしたのよなまえ、暗い顔しちゃってさ」

「…美琴」


親友さまを目の前にしても、テンションがあがるはずもなく…


「早く着替えないと身体検査始まっちゃうわよ?」


正直、体操着に着替えるのすら気が進まなくて、それらのものは机に出したまま手付かず

きっとその状況が美琴には変におもえて仕方ないのだろう


「わかってはいるんだけど…」

「けど?」

「えーと…」


レベルが下がってたらいいのに、なんてことは、誰よりも頑張ってこの位置にいる美琴に言えるはずもない

それに、今更レベルが下がったってもう意味がないのに…


「もしかしてなまえ、怖いの?」

「え?」

「大丈夫よ。アンタはいつも通りやればいいだけ!今日も判定はレベル5に決まってるわ。一緒にね!」


きっと美琴は、わたしが本当に考えていることとは、別のことを考えて不安になっているとおもったのだろう

これは美琴なりの気遣いで励ましだ


引き起こしてしまったことを、いつまでもくよくよしていては仕方ない
わたしはわたしなりに、いまの位置にいてやれることをしなければならない

そんなことはわかってる


でも、やっぱり、その励ましもいまだけは少しだけおもたい


「ごめんね、美琴」

「なに謝ってんのよ!いまは謝るとこじゃないでしょうが」

「…ありがとう」

「ほ、ほら手伝ってあげるから早く着替えなさい!」


照れ隠しなのか、美琴はわたしから目線をはずすと、わたしの着ているニットベストに手をかけた


「え!?き、着替えくらい自分で出来るよ…!」

「あ、そうそう。黒子が学校終わったらファミレス行こうって言ってたわよ。なまえも行くでしょ?」

「もちろん。ってわたしの話は無視?」


美琴はさらに無視して、わたしのブラウスのボタンに手をかける


「だから自分でやるってばー!」






(まさか美琴まで変態化しちゃったんじゃないでしょうね!?)



prev - next

back