「まーたDランク任務かよー!いい加減飽き飽きしちゃうぜ」

今日の任務は飼い主から逃げ出した猫を捕獲するという簡単なもの。この間から続いていた草刈りが終わったかと思えば今度は猫の捕獲。そのことにチヒロは不満の声をもらした。確かにわたしも飽き飽きしていたところではあるが、里が平和なのはよいことだと思う。

「仕方ないよ。わたしたちはまだ下忍なんだから。ね、ミナト」

「ん、なまえの言う通りだよ」

「なんだよお前ら。いつもそうやってさ」

いつもそうやってとは一体どういう意味なのか。よくわからなかったわたしはミナトの方を見て首を傾げる。するとミナトもまた同じように首を傾げた。

「そんなお前たちに良い話があるんだのォ」

わたしたち三人の間に微妙な空気が流れたとき、突然自来也先生が割って入ってきた。なにやら得意げな表情の自来也先生に再びわたしとミナトは首を傾げた。

「三代目からBランク任務を言い渡されたんだが、どうだ?やってみるかのォ?」

「やる!」

「おお、そうか」

「でも!Bランクって中忍クラスの任務ですよね…?」

一人乗り気のチヒロを制するようにわたしが言えばミナトもそうだと言わんばかりに頷いた。けれども、自来也先生はそんなこと気にしてなどいないという風に話を進める。

「何、そんな難しいもんじゃない。ただ渦の国へこれを届けてくれと言われただけだからな」

そう言いながら自来也先生がわたしたちにちらつかせてきたのは、機密文書と思わしき巻物であった。その巻物を届けるだけといいながら、任務のランクはしっかりBなのだから簡単ということもないのではないか。わたしはそう思った。

「なまえよ、何やら不満そうだのォ」

「…不満というか」

「なんだよなまえ、自信ないのかあ?」

「え?そういうわけじゃなくて…」

なにやら勘違いをしているチヒロにどうしたものかと、助けを求めるようにわたしはミナトに視線を向けた。目が合うとミナトは少し困ったような笑みを浮かべた。

「チヒロ。なまえはきっと不安なんだと思うよ。さっき言ってたように俺たちまだ下忍だから」

上手くフォローしてくれたミナトにわたしが大きく頷いていると、チヒロはとても不満そうにわたしを睨んだ。

「それなら心配いらないのォ」

「え?」

「お前らチームワークは結構あるようだしな。いざという時はワシもついてるからの。それに、何事も経験だぞ?」

自来也先生は諭すようにわたしに言った。確かにわたしたち三人だけでやれと言われたわけでなく、自来也先生も一緒なら安心だと思い直しわたしは強く頷いた。

「…わたし、やります」

「そうか。ミナト、お前はどうする?」

「俺もやります」

自来也先生の強い後押しもあり、結局ミナトも了承したのであった。やると返事をする前は不安でいっぱいであったが、やると決めて頷いてからは自然と不安も消え去っていた。なんとなく、この自来也班なら大丈夫のような気がした。

(これも大きな一歩なんだ)



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