卒業試験から早いことに一週間が過ぎた。チーム編成はというと、なんと、ミナトと一緒になることができた。それとチヒロという新しい仲間と自来也先生という担当上忍とのフォーマンセルで、男の子に挟まれながらやや不安な下忍生活がスタートしたのだ。

どんな任務が待っているのだろうと初めはわくわくしていたものの、この一週間、やれ猫を捕まえろだの畑を耕せだの、そういった雑用ばかりでいい加減嫌気がさしていた。

いまだって、広大な敷地の延び放題な草をむしっている最中だ。むしってもむしっても減らないこのジレンマ。がんばっているのはわたしたち三人だけで、自来也先生は見ているだけ。先生の火遁で焼け野はらにしてくれれば一発なのに。けれども、そんなことを頼んでもまた断られるに違いない。

「なまえ、サボるなよ!」

そんなつまらないことを考えているわたしの手は止まっていたらしく、チヒロから不機嫌な声がもれた。いけないいけない。早いところ終わらせないと。

「疲れちゃったなら少し休んで。あと俺たちでやるから」

ああ、ミナトはなんてやさしいんだろう。ありがとう、わたしの自慢の幼なじみ!チヒロや自来也先生も少しはミナトを見習ったらいいのに。そんなこと本人たちには絶対に言えないけども。こんな風に思っていると再びチヒロに睨まれてしまったわたしは肩をすくめると「大丈夫」と答え、草むしりの作業に戻った。

下忍っていうのはこんなものなのか。ばかばかしいとまでは思わないが、さすがに虚しいものがあったりもして。わたしはみんなにばれないようにこっそりため息をついた。

「なまえ」

「ミナト?どうしたの」

ひたすらに草をむしっていると、ミナトが隣へとやってきて小声でわたしの名を呼んだ。もちろんこの間にもわたしやミナトの手が止まることはない(じゃないとまたチヒロに怒られるに違いない)。

「今日お祭りだって知ってた?」

「うん。ミナトはシカクたちと行くの?」

「んー、それがみんな他に約束があるみたいなんだ。なまえは?」

「そうなの?実はわたしもヨシノを誘おうと思ったら先約があるらしくて」

「じゃあさ、一緒に行こうよ。二人で」

「行く!」

わたしが笑顔で頷くとミナトも嬉しそうに笑ってくれた。本当はヨシノを誘ってなどいなくて、初めからミナトと行きたいと考えてたわたしにとって最高な提案だった。幼なじみだというのにお祭りには一緒に行ったことがなかったから。ああ、なにを買おう。綿飴、たこ焼き、金魚すくい…あと林檎飴にそれからお面もいいな。考えだしたらきりがなくて。一気にるんるん気分になったわたしは、草むしりの手をより一層早めたのであった。

(なんて単純なわたし)



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