今日も厳しい任務を終えて家に帰ると、なまえが出迎えてくれた。
「ミナト、おかえり」
「ん、ただいま」
一緒に住んでいるのにもかかわらず、彼女も俺も忙しいせいであまりふたりで過ごす時間をとることができなくて、そろそろ限界に思っていただけに、いまの自分の顔がいかに緩んでいるか鏡を見なくてもわかる。
「今日は早かったね」
「なまえこそ」
玄関先だというのに俺はなまえを抱きしめてしまう。とにかくいますぐになまえの温もりを感じたい。なまえの首元に顔をうずめて、めいいっぱい息を吸う。肺の中が彼女のにおいで充満した。
「ふふ、くすぐったい」
「ごめん。でももう少し我慢してほしいな」
「ミナトは甘えんぼだね。そんなんじゃ受け持つ下忍の子たちに示しつかないんじゃない?」
なまえがからかうように笑ってから、俺の背中をポンポンとあやすように叩いた。もういまはなに言われたっていいんだ。それくらい、君不足だから。
「なまえ、知ってたんだ」
「今日の任務終わりに三代目さまから聞いちゃった」
「俺の口から言いたかったな…」
「ごめんね?でも今日はごちそう作ったから!食べよう」
「ん!ありがとう」
軽く口付けすると、なまえは照れたように笑った。それがまた可愛くて歯止めがきかなくなりそうだったが、なんとか理性を保った。
「それとも、わたしから先にする?」
だけど、なまえの意外な一言によってせっかく保った理性が音を立てて崩れていくのがわかった。
(ああ、幸せすぎてどうにかなりそうだ)
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