この半年間、自来也班の面々は任務の合間に死ぬもの狂いで修業に励んだ。もちろんわたしも例外ではない。その甲斐あって、もともとよかったと言えるチームワークがより一層よくなったと思えるほど成長した。わたし自身の能力も向上した。はず。修業のなかでたまに落ち込むわたしにミナトはいつものように優しく励ましてくれた。それもわたしが頑張れた要因のひとつ。

アカデミーに通う前からいままで、ミナトの優しさには揺るぎがなかった。それを実感するたびにわたしは、やっぱりミナトのことを想っているんだと何度も気づかされた。そしてこの修業を通してわたしたちはもっと仲良くなれた気がした。もしかしたらわたしが勝手に思っているだけかもしれないけれども。

「なまえ?そろそろ行くよ」

中忍試験会場の入り口の前。わたしが立ち止まって空を見上げていると、ミナトに声をかけられた。ちなみにチヒロはとっくに中に入っていたらしい。ふと、先ほど去り際に残していった自来也先生の言葉を思い出した。“お前らなら大丈夫だ。自分を、仲間を信じて頑張ってこい”

「…わたしたちなら大丈夫、だよね」

わたしは自分にしか聞こえない音量で呟くと拳を握った。大丈夫、もう一度自分に言い聞かせたとき、ミナトが自らの拳をわたしの方に突き出してきた。わたしも同じように自らの拳をミナトに向かって突き出すと、その拳同士はとん、と軽く音をたててぶつかる。

「俺たちなら、大丈夫!さ、行こう」

「…うん!」

頷いてわたしは、少し先を歩くミナトのあとを小走りで追いかけた。

(さあ、扉を開けよう)



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