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ひたすらビーチエリアを爆走していたロックマン達は、それを見てピタッと立ち止まった。
「………あ…」
何があったのか分からない。本当に分からない。
何故だ。何故−
「道が、切れている…」
ビーチエリアからジコク島エリアへ繋がるワープゾーンへの道が。綺麗に崩落していた。
「て言うかさ……ウラインターネットに行くには、さ……。プレスプログラムが必要だよね…」
−三人のナビカスタマイザーにはそのプログラムは組み込まれておらず、また、組み込んでくれるオペレーター達は現在精神のみ迷子中だ。
今更ながらに頭が冷えて来た。何してたんだろう俺達。
「……確かに、この先にいるという反応が出ているんだがな」
「………どうしよっか」
いっそのこと、飛び越えてやろうか。
主の為ならばどんな無茶も辞さない三人はそうしようとあっさり決めた。ちなみに、普通のナビならば絶対に諦めるだろうぐらいに道と道は切れている。
−まずはロックマンが。さあ、飛び越えようとした時。
「あ、道切れてんじゃん!」
「マズいな…」
「これでは逃げきれんぞ」
やけに息を切らせている、明らかにナビではない−−要するに、人間が三人。
「熱斗君!」
「炎山様!」
「ライカ様!」
「…その声……ロックマンにブルースにサーチマン!?」
凶悪ウィルスズから逃げ切るのに必死で、自分達のナビをプラグインさせっぱなしだったことを忘れていた。−−させっぱなしで良かった…。
最も信頼するナビ達に再会出来たからか、安心して脱力してしまう。
「無事で良かったぁ……。あ、今そっちに行くからね!!」
「へ?」
目の前には、穴がある。落ちたら多分、いや絶対帰って来れないぐらい深い深い。
明らかに今冷静なのは、ナビではなくオペレーターの方。
「ロ、ロックマン!!俺さ、確かナビカスにエアシューズ組み込んでたよね!?」
ピタリ。
「あ……そうだった」
ちなみに、ブルースとサーチマンにも組み込まれている。気付いていない、と言うより忘れているのは組み込まれている本人らだけだ。
……普段は冷静沈着な三人。しかし、オペレーター達が窮地に陥れば、途端にそんな長所をどっかにやってしまう主バカの三人。
真の窮地に強いのは、まず間違い無くオペレーター達であった。
そんなこんなで遂に合流出来た六人。
「ホント、無事で良かったよ熱斗くぅぅん!!」
「お、落ち着けって…」
本当に泣きついているロックマンに、熱斗はどうしたら良いか分からない。落ち着いて欲しいが、言葉を聞いちゃくれなかったからだ。
そんな様子を見て、ライカは溜め息をついた。
「…で?何故俺達が電脳世界に送り込まれているんだ」
「それは……」
顔を見合わせたサーチマンとブルースは、取り敢えず事実をありのまま伝える事にした。今回の事件の犯人とそのナビ、人間の精神を電脳世界に送り込む爆弾。犯人の動機や理屈、精神の戻し方は現時点では一切不明である。と言う事を。
まるで夢の中の出来事のようだが、現実にライカ達は電脳世界の中にいる。先程までウィルスに追いかけ回されていたのだ。信じるしか無い。
「……おい、毒茸」
「何だ、腐卵」
……どんどんお互いの呼びかけの危険度が上がっていっている。
「銃弾は後どれぐらい残っている」
「……さっきまでのウィルスから逃げ切る為に使ったのが全弾中三発。もう一丁には使っていないから全弾…つまり、六発。予備は九発。全て合わせて十八発だ」
「……無駄遣いは出来んな」
ウィルス相手に、十八発では少なすぎる。
何時になく不利すぎるこの状況。頼れるのはやはり、己のナビだ。それも、武器に関しては素の性能で勝負することになる。
「……どうしますか」
「一端、ウラインターネットに引き返す。見落としている事があるかもしれん。……ああ、途中の細道は自力でどうにかしてくれ。あいにく、PETはこっちには付いて来なかったようだ」
(ああ、やはりな…)
改めてチップ無しを先に宣告され、ブルース達は溜め息をつくしか無かった。おまけに、綱渡りまでしなくてはならない(彼等は、ウラインターネットには別のエリアからでも行けることを完全に忘れている……)。
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