刹那と永遠の調和
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誕生日――生まれた当日。また、誕生の記念日。

頭の中でその定義を巡らせながら、サーチはやや離れた椅子の上で何処となく憂鬱そうにしている青天使を眺めていた。

桃天使から聞いたことだが、どうも光熱斗には、誕生日と言うものに良い思い出が無いらしい。精霊たる己とは縁遠い代物であるそれだが、彼女にとっては余程気に掛かるものなのだろう。だからと言ってどうにかするような代物とも思わないが。

立ち上がると、彼女はそっとロビーを離れる。主は確か、密やかな恋心を抱いている熱斗の為に、自室で何か贈り物を準備していた筈だ。手伝えないだろうか――

「あ、サーチ」

「ロックマン?」

何やら小ぶりの箱を抱えた青天使の契約精が向かいから歩いて来た。

「どうかしたのか」

「今日は熱斗君の誕生日だからね。ちょっとしたプレゼントを渡して来ようと……。サーチは何か、そういうものは無い?」

「無い」

即答する。ロックマンもその返答を予測していたのだろう、さして表情を変えず、ただ肩をほんの少し竦めただけだ。

「まあ、とりあえずおめでとうとだけでも言ってあげてくれないかな。それだけでも十分だから」

「そういうものなのか?」

「何にもしないよりはずーっと、ね」

どうやら、そういうものらしい。

そもそも、彼女はこれまで誕生日なるものとの縁が非常に希薄であった。と言うのも、彼女自身は勿論のこと、彼女の主もまたそんなものを体験したことがなかったからだ。

当然それを祝う等という経験は無いわけで、従って辞書的な内容しか知らなかった訳だが。

(身内が祝うぐらいには、重要なものなのか)

ならば正しくそれに乗っとるべきだろう。そう判断したサーチは幾度か頷くと、淡い笑みを湛えたままのロックマンに適当な言葉をかけてから、その場を立ち去る。目的地は当初より変更して、再びロビー。

(少しぐらい、明るくなれば、良いものだが)

何せ明るさが取り柄の娘だ。陰気臭いままでは少々困る。



(……取り敢えず、「オメデトウ」)

(え、何その棒読み。……でも、ありがと)



13/06/11
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遅刻したけど光兄弟誕生日記念!
今年は一番縁遠そうなサーチ。ロックマンは自分からは決して言い出さないだろうのでこんな役割に。とにもかくにもハピバ!!

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