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何としてでも探し出さねばならない。あの愛しき子等を。

例え私が愛されていなかろうとも、大事な我が子であることに変わりは無い。

だから今すぐに探し出し、そして−−



Suspense Days



ついぞ二週間前までは消滅の危機に瀕していたとは思えない程、地球は平和だった。正確には、わざわざネットセイバーやCFメンバーを出撃させる程の事件が、ニホンやアメロッパには起きていなかった。

今日ネットセイバー三組が一同に会している理由は、IPCと科学省が共同開発している、新型PETの機能説明及び、それに合わせたシンクロチップのバージョンアップの為だ。

CFが可能といえども、身分は一般人に過ぎない他のCFメンバーとは違い、彼等は普段から事件に対応しなければならない立場だ。ナパームマンを除いたアステロイド達の消滅により、実体化したナビやウィルス達の事件はほぼ発生しなくなった。しかし、何時またそのような状況になっても可笑しくは無い。故に、彼等は定期的に合同演習を行っているし、会議も開いている。今回もその一関に過ぎなかった、筈だった。

「従来のシンクロチップからバージョンアップした今回のシンクロチップは−−」

ビーッ、ビーッ!

炎山による新型PETの説明が終わり、光博士によるシンクロチップの説明が今まさに始まろうとするまでは。

『緊急事態発生!デンサンタウンに実体化ウィルスの反応!ディメンショナルエリアの発生はありません!』

部屋中に響き渡るアラートと突然の事件を知らせる放送に驚いたのは、この部屋にいた誰もかも、だった。

「何…!?」

「ディメンショナルエリアも無しにウィルスが実体化する、とはな……」

例の無い事態に炎山は眉を潜め、ライカは顔をしかめる。二人とも精巧に造られた人形のように端正な造作なだけに、困惑が余計に感じられる。

「とにかく行こうぜ、二人共!−−パパ、後でPETに地図送って!」

「分かった。三人共、くれぐれも気を付けて」

「分かっています」

「同じく」

座席を蹴って立ち上がった熱斗に続き、二人もまた会議室を出る。手には新調されたシンクロチップ。

まだ詳しい説明はされていないが、実戦で試せることには変わり無い。

「ブルース、どう思う?」

『ウィルスの実体化は、仮にディメンショナルエリアがあったとしても、並大抵の技術者には出来ないことです。そもそも、科学省の者でもディメンショナルエリアが無ければ……』

「不可能、に違いない……」

一体、どういうことなのか。

サッパリ分からない。とにかく、現地で事実を確認しなければ。

予め待機させていたらしきリムジンに乗り込む。炎山の秘書−柔和なこの顔付きは丹羽氏だ−は逼迫した彼女の顔を見ただけで事情を把握したらしく、直ぐにエンジンをかけた。

「副社長、どちらまで?」

「デンサンタウンだ。急げ、丹羽」

「畏まりました。発進します」

アクセルが踏み込まれる。小さな排気音が鳴ると共に、リムジンが発進した。

不可解な事件の発生地へ、乗り込む為に。



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