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「スコールっ!」

煙が引いた頃合いを見計らって叫ぶ。応えるように、影が動く。

「大丈夫か?」

「……問題無い」

返って来た声に違和感。

(…何か、高い?)

スコールの声は(自分と比べれば)かなり低い。それが何だか、女の子みたいな高さになってないか?思いっ切りガス吸ったから?

スタスタ、薄れた煙を払いながらこちらに近付いてきたスコールの姿を見て、…ジタンは頭を抱えた。予想したくないことが当たってしまった。

「ス、スコールさん?」

「…何だ」

「……その…」



「…女の子、になってねえ?」



「…?」

ジタンの言葉の意味が分からなかった。…女になっている?俺が?

取り敢えず自分の胸に触れてみる。ムニ、柔らかい感触。女性特有の弾力に富んだ、膨らんだ乳房。

「ベバッ!」

いくら女性慣れしているど言えど、目の前で胸を揉まれれば刺激されるのが男の性(さが)。

鼻血を吹いて倒れたジタンを尻目に、スコールは寝かされているバッツの側にしゃがみ込む。

「…大丈夫か」

「何とか…」

起き上がった彼はシパシパ、目をしばたたかせた。

「…お前、スコールに似てるなぁ!妹?」

「…本人だが」

いきなり妹設定など作られては困る。

からから笑いながらとんちんかんなことを言い放ったバッツを軽く蹴っ飛ばし、懐から取り出したハンカチをジタンに渡した。

「サンキュ…」

獅子の刺繍が施された白いハンカチを遠慮無く鼻に詰めたジタンは、そのまま首を傾げる。

「にしても、何でスコールが女の子になったんだ?」

「…さっきの煙だろう、多分」

「だったら俺も、女の子になってないとおかしく無いか?ちょっとだけだけど吸ったぞ?」

「量の問題じゃねえ?」

適当に推測したが、やはりあの煙のせいだろう。

そう結論を出した三人は、こう言ったトラップを仕掛けそうなヤツを思い浮かべる。

「…やっぱ、皇帝だろーな」

「あいつ、無駄にトラップ仕掛けるの好きだしなぁ」

「…シめる」

女になったことはどうでも良いが、何と無くプライドに触る。

今にもガンブレードを具現化しかねない彼、いや彼女の様子を見て、ジタンとバッツは今のスコールは絶対怒らせないようにしようと決めた。じゃないとブレイブブレイクされた上で彼方へ吹っ飛ばされる、そんな予感がひしひしする。



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