ファースト的暇潰しの方法−1
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「晴矢」
「………」
「晴矢」
「………スピー…」
「居眠りをしている振りをしていても無駄だ晴矢。私の中に眠る闇が教えてくれるからな!」
「厨二ネタは止めやがれ風介ぇ!」
思わずつっこんでしまった南雲は頭を抱えた。寝てる振りしてやり過ごそうとしてたってのに!
此処はお日さま園の一室。ポカポカ陽気が降り注ぐ中、南雲と涼野は暇を持て余していた。
サッカーをしようにも緑川や砂木沼達は瞳子と共に買い出しへ出掛けてしまった。二人はお留守番という名目で置いてきぼりをくらったのである。八割方は涼野の重度の厨二病が原因だが。
「で、何か用か?」
「暇だ」
「俺もだ」
「暇だ」
「…うん」
「暇だ」
「………」
「暇だ」
「それ以外言えねえのかよぉぉ!!」
「暇」
「もうええっちゅうねん!」
これ以上風介に関わっていたらこっちがどうにかなってしまいそうだ。思った南雲は涼野の碧眼から視線を外し、先程まで読んでいたサッカー漫画に集中しようとする。
と、ぬうっ、背後から伸びてきた異様に白い手。何度か肩の辺りをさ迷ったそれは、突然の怪奇現象に固まる南雲の手から漫画をするりと掴み上げた。
「もう、晴矢ってばこんなに良い天気の日なのに部屋に閉じこもって漫画なんて読み耽っちゃって。健康サッカー少年なんだからサッカーしなよ!円堂君みたいに!」
「………………え、ヒロト?」
「イッエース」
「何っでお前が此処にいるんだよぉっ!?」
振り向きながら叫ぶ。背後にバッチリ張り付いていた基山ヒロト。本来なら日本代表の合宿所にいるはずなのだが…。
「今日は休養日なんだ。だから里帰りしようと思って」
「帰って来ない方が私は嬉しかったがなビッチ」
「風介酷い!」
「それともお前が、暇潰しの方法を提供するというのか?」
涼野の言葉に、基山はパチパチ、浅葱色の瞳をしばたたかせた。
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