vision love
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彼女−光熱斗が自分のナビであり生前の兄であるロックマンを本気で愛している、というのは既に承知していた。何だかんだでのらりくらりかわされていることも。

「なあ、どうしたら良いと思う?」

「…俺に聞かれてもだな……」

俺だって似たようなことで悩んでいるんだ、むしろ俺の方が知りたい。

目の前の巨大パフェを崩していく。口の中で溶けるクリーム、ほんのり甘い。

「ずーっとずーっと大好きなのに、ロックマンだって気付いてる筈なのに…」

『……』

そのロックマンに主に熱斗関連の惚気を聞かされまくっているのだが、とはとても口に出せないサーチマン。…熱斗の悩みは杞憂に過ぎないのである、ただロックマンの性格が少々歪んでいるだけで。

そうとは知らない熱斗はぐちぐち、任務によってシャーロからわざわざ呼び出された女軍人に言う。

「俺って、おかしいのかな」

「…何が」

「…だってさ、普通、ナビを恋愛対象に見る人なんて、いないだろ」

ツキン。一瞬痛む、胸。

「…別に、そんなことは無い、と思うが」

「…」

まんまる、大きく開かれた鳶色の瞳。

「何だ」

「え?…いや、なんかさあ、ちょっと意外だな、って」

「何が」

「ライカがそういうこと言うの」

…熱斗に悪気は無い、うん悪気は無いんだ。今にも拳を握りかねない自分に内心、必死で言い聞かせる。

「……俺だって、」

恋愛ぐらい、する。…本当は、駄目なのだけど。

ちらり、自分のPETを見る。とくだん普段の無表情と変わらないサーチマンの様子を見てまたツキリ、痛む胸。

目の前の友人と一緒で、自分はナビに恋心を抱いている。違うのは、ナビが気付いてくれないこと。

正直に言うと、羨ましい。

「あー、でも結局さ、諦めたら駄目なんだよ」

「…」

「ロックマンが受け入れてくれるまで告白し続けるからな、俺!」

「…公共の施設でそんなことを叫ぶな、馬鹿」

「馬鹿って言うなよっ!」

「ふん」

何時の間にやらパフェは姿を消していた。食べることでごまかせない。

真っ赤に染まった顔の少女が二人。彼女達をぼんやりぼんやり、一人のナビが見上げている。想いには気付かずに−



(これではまるで、幻影への恋)



11/03/03
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某様に影響を受けて書いてみた熱→←ロク、のつもりが玉砕。どっちかと言えばライ→サチじゃねこれ?
取り敢えず緑組を絡ませようとするクセをどうにかして、あ、やっぱ私には無理です緑組も青組も大好きです。
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