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そんなこんなで三人が来たのは迷いの森−

「なあ、さっきも此処に出なかったか?」

「そうかあ?……そうかも」

「……」

見事に迷子状態である。周りに群れる木立と目の前に広がる泉、何度目の光景だろうか。

いくら歩き慣れているとはいえど疲れは溜まるものだし、こうも同じ風景ばかり見ていては正直飽きてくる。

いったん休憩しよう、というバッツの提案に二人は異を唱えなかった。

「方位磁石も使い物になってないしなー…」

「でもさ、こういう所程すっごいお宝が有るもんだって!」

(宝探し云々よりも、此処から脱出する方が先なんじゃないか?)

前々から思っていたのだが、バッツは少々天真爛漫が過ぎる。そのせいでジタンが捕まったりしたことも有るのだから、少しぐらいは自重したらどうなんだろうか−

とは言え、この天真爛漫というのはバッツの長所でもあるし、自分も助けられたことが有る。そんな訳だから、中々口には出せない。

スコールが一人内心で悶々としている内に、ジタンが「それ」の存在に気付いた。

「バッツ、スコール!見ろよ、アレ!」

彼の指差す方向を見れば、何の代わり映えもしなかった筈の風景にひっそり埋もれていたらしき宝箱。よくよく見れば苔が生えていたりちょっと腐っていたりして、中々年代物と見える。

(……?)

何度もあちらの方は見ていたがあんな物、あっただろうか。気付かなかっただけか?

スコールが内心で思案する間にも、バッツは既に駆け出していた。その後を慌てて追い掛けるジタンを見て溜め息をつきながら、彼も後を追う。

「バッツ!この間のこと覚えてるよな!?」

意訳、「今度はちゃんと警戒しろよ!」ぐらいだろう。

「分かってるって!」

パカッ!

「おいぃいいっ!早速やらかしてんじゃねーかバッツの馬鹿やろっ」

「でも開けなきゃ何が有るか分からないじゃんか」

「そうじゃなくってだな…!」

口論を始めた二人に呆れる。何をしているんだか…。

脳天気コンビを尻目に、放置された宝箱に目を向け−気付いた。

「バッツ!」

「へ?−ッ!」

宝箱からもうもうと、薄桃色の煙が立ち上っている。

「だから言ったのに!バッツ!」

今にもバッツを包み込みこまんとしている煙。本能的に彼の危機を察知したジタンが飛び込もうとした、が。

それよりも早く、スコールが煙に飛び込む。小さな声を伴って、バッツが突き飛ばされたらしい。もんどり打っている。

「スコールっ!」

咳込んでいるバッツを介抱しながら、彼を庇った青年の名を叫ぶ。−返事は、無い。

やっべぇな、俺風魔法なんて使えないから無理矢理吹き飛ばすわけにもいかないし、だからって放っとける筈も無い。

ジタンが思案している間に、煙は晴れる。影が見えた。ああ良かった、無事だ。



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