はちみつれもん
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ホウエン地方、海の玄関口が一つ、ミナモシティ。今現在キンキンに冷やした蜂蜜レモネードを飲んでいる二人組の片割れ、ヒスイの出身地であり現在地である。

「で、何か用?」

「……別に…」

カントー地方から遥々やって来た少女、リーフは言葉少なにガイドブックのページをめくる。

「…兄さん達へのお土産、どうしようかな、って思って。その相談」

「俺に?」

こくり。

「…俺、そういうの苦手なんだけど。ていうかアンタ、あの人…グリーンだっけ?にちゃんと土産とかやるんだな」

「……私、そこまで人で無しじゃないわ…」

「………」

いや、それはどうなんだろう。

他のトレーナー達から伝え聞いている彼女の、兄に対する所業を思い出せば、土産を買ってあげる何て言う優しさは少しも想像出来ない。

「で、あなたホウエンには詳しいのでしょう…?」

「そりゃ出身地方だし、何度も周ってるからね。少なくとも、バトルにしか興味無いあの暴力女よりは知ってるよ」

おだてと分かっていながら答える。慎重に、慎重に。

「……まあ、あの娘の場合、仮に詳しいとしても条件にバトルを出してきそうだから、余計に…」

「……でも、俺以上にユウキの方が知ってるだろ」

「ユウキは今イッシュ地方なの…」

「あー…」

もう逃げられない。

何とか逃げ道を探していたのだが、徒労に終わったようだ。

深々と溜め息をついたヒスイは机の隅に寄せていたビンを掴み、リーフの前にコトリ、置く。

「…レモン漬け?」

「そ。ミナモ土産の一つ。結構美味しいよ」

レモンはヒワマキ原産、農場から直輸入。漬け方は極秘。取り敢えず美味しい。

何だか分けの分からない物を見るような目で差し出されたビンを見詰めていたリーフだが、やがてクスリ、笑う。

「…面白そう。良い反応が返ってきそうだわ……」

「…」

適当に奨めたのだが、まあ良いか。

その時、ヒスイは確かにそう思っていたのである。



一週間後。

何と無くトキワシティに向かったヒスイはグリーンに泣き付かれることになる。

曰く、

「アイツが…アイツがレモン漬けなんか持ってきやがって……俺はレモン苦手なんだよおぉっ!!」

「あー……」

…どうやら、当ては外れてしまったようだ。



11/02/11
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緑色面子。ヒスイそんなに毒舌じゃねえな。
グリーンは基本こんな扱いなんだな
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