悩まずにはいられない
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「基本的な疑問だけどさ、…ライトさんって何歳なんだ?」
唐突な疑問の声に、フリオニールの楽園(つまり、花壇にのばらを筆頭とした花々の植わる中庭)は暫し、沈黙に包まれた。
発言者ジタンはそれに気付いたのか、あわてふためき両手を振る。
「いや、あのさ〜、……何と無く気になったんだよなー。二十三、四ぐらいかなーって最初は思ってたんだけど…」
「けど?」
「…時々三十路ぐらいに見えて……」
「「「………」」」
色々と苦しい言い訳だ。
「結局の所、何歳なのか知りたいだけだろ」
「…ああ」
「じゃあ、簡単ッスよ!」
話している間にもブリッツボールを弄っていたティーダはすっくと立ち上がり−
「おーい、ライトー!」
「何だ、ティーダ君」
「ライトって、何歳なんッスかー!?」
((ダイレクトに聞いたーっ!!))
たまたま中庭に面する廊下を歩いていたらしきライトに大声で尋ねやがった。流石はコスモス勢一空気の読めない青年、とか言っている場合ではない。
「(何ダイレクトに聞いてんだよ!ライトさん目茶苦茶困った顔してるだろ!)」
「(いちいち回りくどく聞いても仕方ないッス!)」
「(そういう意味じゃなくって…!)」
他者の気持ちを汲むことが得意なティーダにしてはらしく無いミスだ。しかもそれに気付いていない。
そもそもの言い出しっぺはティーダの程好く日に焼けた頬を力一杯引っ張り、自分のすぐ側にまでにまで引き寄せる。間近になった耳に小声でまくし立てる。
「(少しはライトさんの心情考えろっての!)」
「(えっ…あ…)」
他の面々とは違い、ライトには過去の記憶が無い。何時から生きているのかが分からないのだから、自分の年齢なんて分かる筈も無いのだ。だからジタンも本人には直接聞けずにいて、同年代組内でぼやくに留まっていたのだろう。
一瞬で暗いムードの漂う中庭に、やはり困った顔のままのライトが足を踏み入れる。元々心配性のフリオニールが八重咲きの赤薔薇を間引こうとしているその瞬間で固まっている。さくりさくり、青草を踏む音−
「ティーダ君」
「ひゃ、ひゃい」
頬を摘まれたまま答える姿は間抜けで、益々情けなくなる。
「私の年齢だが……、君達の様子を見る限り、やはり告げるべきなのだろうな」
「や、やっぱりそうですよね、聞いちゃってごめんな……て、え?」
間の台詞を抜いてみよう。うん。
私の年齢を告げるべきなのだろうな→要は、私の年齢を告げることが出来る→つまり、ライトは自分の年齢を知っている!
「(や、やっぱり三十路なのかな…)」
「(いや、それは無いだろう。最初の二十三、四で良いんじゃないか?)」
「(大穴で百歳越えとか!)」
「(いくら何でもそれは有り得ないって!)」
本人を目の前にして小声で憶測を喋りまくっている三人の様子に気付いていないのかスルーすることにしたのか、気にしていないようにライトは口を開く。
「ガーランドに知らされたことでな。…私は」
「私は…?」
「どうやら、二千歳を越えているらしいのだ」
……中庭が静まり返ること、十数秒。
「……え?」
二千歳。…えーっと、桁で言えば四桁。零の数は三つ。人間の平均寿命は七十、八十。カオス勢でいけば暗闇の雲が一番近い?あ、ガーランドも二千歳だったっけ…
「全っ然そんな風には見えないなあ…」
「聞いた私も驚いたからな。君達が驚くのも無理は無い」
「(いや何でそんな普通に会話してるんだジタン!?)」
「(寿命設定されてないジェノムはそれぐらい普通に生きるしー)」
「(サラッととんでもないこと言うなっつーの!)」
「君達、どうかしたのか?」
「…な、何でも無いでーす」
とりあえず、他のみんなにはライトさんの年齢(仮)は絶対に言わないでおこう。そう堅く誓った三人だった…。
11/01/31
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グタグタなまま終了。こんなトンデモ設定うちのとこだけだろうな。一応原作自体の設定を踏まえたつもりなんですが。早くDDFFの体験版したいなあ(話に関係なっ)。