戯れる
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べっちゃああ!

「………」

何があったのか、理解出来ずにいること数秒。ポタポタ、自分の顔からこぼれ落ちているのは何だろうか。手袋をはめた手でで拭ってみる。カスタードクリーム。先程剥がれ落ちたのはパイだ。もったいない。

思いながら、ライカは投げ付けてきやがった犯人を見る。熱斗だ。

「あ、当たっちゃった?」

「……見れば分かるだろう阿呆が…!」

光博士により、CFメンバーに召集が掛けられた。故に、王女と共にニホンくんだりまで来てみれば、こんな下らないことを…!

ふつふつ沸き上がる怒りのままに、足元に落ちていたパイを拾う。ヘラヘラ笑っている馬鹿に狙いを定める。

…ライカの投げたパイには殺意が込められていた。これはマズイと感じた熱斗は身を逸らしてかわす。

誰にも当たらず壁に到達した途端、パイは粉砕したのであった。クリームが辺り一面に飛び散る。

「うっわあ…。あんな勢いで投げたら危ないじゃん、ライカ!」

「…………」

もう一発準備。勿論狙いは青いバンダナを巻いた馬鹿。

投げようとした瞬間、右側頭部に衝撃が走る。

氷点下の無表情で右を見れば、これまたクリーム塗れで、零下の笑みを浮かべた炎山が二投目をスタンバイ。

「……伊集院…?」

「−俺だけ巻き込まれているんじゃ、割に合わないんでな?」

因みに、周りでは他のCFメンバー(此処にいないゆり子、ミヤビ、バレル除く)がやはりパイを投げまくっていた。広大な筈の訓練所は既にクリーム色に染まっている。足元はパイだらけ。…ノリの良い奴らばかりで本当に宜しいことで。

「……サーチマン」

『はい。−右は四時の方角に67度、左は正面、直線弾道です』

「分かった」

両手にパイ。サーチマンの無機質な声。

二人に悟られる前に発射。サーチマンの計算した軌道を正確に描いたパイは一つは熱斗の顔面に、一つは炎山の左肩にヒット。

お返しをしたライカは僅かに満足をしたようではあった。

「まあ、楽しそうですね」

「王女!」

「プライド、です。−熱斗、私も参加して良いかしら?」

ある種とんでもない発言に、ライカが止める前に熱斗が「オッケー!」と了承してしまった。ああ、一国の王女がパイ投げなんて…

しかしプライドはどう考えても普通の王女の性格ではない。何発か投げている実にあっさり溶け込んでいく。

「………プライド…」

「諦めろ、茸。二人共ああいう性格だろう」

「…………………」

確かにその通り。

「大体、元はと言えばアイツが待っている間暇だからとか何とか言ったからこんな事になったんだ。ったく、人を巻き込むのもたいがいにして欲しいものだ」

卵の台詞は途中からスルー。フツフツ沸き上がるは怒り。

感情の抜け落ちた水晶色の瞳はこの馬鹿馬鹿しい「暇潰し」を提案したらしい張本人−熱斗に向けられる。そう、元はと言えばコイツがいきなりパイを投げ付けてきやがったから−!

「……なあ、ロックマン」

『何、熱斗君』

「俺、もしかしなくってもさ……マズイ?」

『……確実にね…』

そんな会話をしている間にも、シャーロ軍の特務部隊長とIPCの副社長の心は一つになっていた。

「「くらえぇぇっ!!」」

べっちゃああ!





一時間後。

「よしっ、訓練開始!ロックマン、クロスフュー…」

『やだよ。せめて体に付いたクリームだけはどうにかしてよね!』

「そんなぁ…」



「漸く、か…。ブルース、クロスフ」

『……炎山様、その前にシャワーを浴びてきた方がよろしいかと』

「……」



「…サーチマン」

『俺にもクリーム塗れになれ、と?』

「……いや、何でも無い…」



「……真鍋警視、一体此処で何が…」

「さ、さぁ……私が聞きたいぐらい、なんですが…」

「…ですよね……(熱斗…)」



10/12/17
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一回書いてみたかったんだ、パイ投げ。何かでパイ投げ祭だかを見てからずっと。
他の面子ですが、テスラはチャーリーに集中砲火。メイルがジャスミンに一方的に因縁つけてそのままロールとメディも電脳世界で投げ合い。燃次とディンゴでデッドヒート。プライドは燃次達に混ぜてもらってます。お祭り騒ぎ好きな人多いから何だかんだで楽しんでそうだね!ちなみに、祐一郎は首謀者が自分の息子だと感づいてます、言わないだけで
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