私とアイツの関係性−1
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ホウエン地方はミシロタウン、オダマキ博士の助手ユウキの家(ログハウスである)では、三人の少年少女トレーナーがそれぞれお菓子を持参して、テレビの前に張り付いていた。
「今日ハルカちゃんのチャンピオン防衛戦なんでしょ?おんなじチャンピオンとしては楽しみよねー!」
「僕はそこまでじゃないんだけど…」
「……左に同じ…」
上から順にアスカ、ヒビキ、コウキ−他地方におけるリーグチャンピオン達である。
戦闘(喧嘩)狂のハルカやレッドまでは行かずとも、アスカは相当なバトル好き。対し、自称一般人のヒビキとノンビリエスパーのコウキはどちらかと言えば育成や木の実栽培の方が好きで、この防衛戦にもそこまで興味は無かったりする。あのルールがある以上、ハルカが勝つのはほぼ確定事項だし。
という訳で、二人はポリポリ醤油煎餅をかじりながら(勝手に)ユウキのポケモン生息地調査書を読んでいたが、アスカの短い悲鳴に、思わず彼女の方を見る。
「どうしたの…?」
「……は、は、は…」
「は?」
「…ハルカじゃ、ない…!!」
何が…とは聞くまでも無いだろう。−チャンピオンが、である。
「…予定変更、かな…?」
「ハルカじゃないって言ったって……代理じゃないの?ハルカだって何時でもリーグにいてる訳じゃないんだしさぁ…」
かくいう彼等も、普段(今も)チャンピオン業は代理に任せている。だから別に、正規のチャンピオンが出て来ないところで別に驚く必要は無い筈だが。
「…ダイゴのお兄さんでも、ミクリのお兄さんでも無いのよ……」
「じゃあ、誰なのさ?」
「………………キ」
「…?」
「……ユウキ…なんだけ、ど…」
…沈黙が部屋を埋めること数分。
「…え」
「……そういえば、前会った時…ユウキ君が災難に遭う予感がした…」
…最初の方にも言ったが、コウキはエスパーである。その力は「未来予知」という形で発現している。
実にあっさり吐かれた台詞に、二人はただただ硬直した。
ユウキは別にリーグに挑戦したことがあるわけでもなく、どころかバトルは苦手だとすら言っていた記憶がある。それなのに何でリーグのバトルフィールドに立っているのか。コウキの言う"災難"がこれであるというのなら、何かしら理由がある筈で−…
「…ハルカちゃんが行けなくなった理由があるのかも…」
「普通に考えてハルカが防衛戦を放棄する訳無いし、きっとそうだと思う」
そんな時、
『……えー、チャンピオン代理ということでユウキ君、どうして君が?』
『……ハルカは今バトルフロンティアにいるらしくて、戻ろうとしても絶対試合に間に合わないからどうこうで僕に押し付けられました。それだけです』
『…………そ、そうですかー』
…何だかとても、ユウキらしい理由であった。
「…とにかく、試合始まるみたいだね……」
「ユウキ君、どんなバトルするんだろ。楽しみ!」
切替の異常に早いアスカは瞳をキラキラ輝かせ、テレビの前に張り付く。
(…ご愁傷様、ユウキ)
やっぱり君は僕と同じ、トラブルバキュームだよ。そう呟きながら、ヒビキも体勢を直し、テレビに向き合った。
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