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「言っとくけど、一番一緒に行動してるのは僕なんだからね!」

「一番気が合うのは俺だ……」

「モノを一番相談して来んのは俺だ!!」

「…頼りにして来るのは私だな…」

自慢になっているのかいないのか、良く分からない。本人達は至って真剣……ではある。

真剣なのだが。

「…何てーかさ、不毛…」

「…言うな」

トマホークマンの率直な感想は、実に的を射ていた。少なくとも、マグネットマンはそう感じた。

「……若いな…」

「シャドーマン殿。…老けている発言は止しなされ」

遂には腕を武器にリライトして戦い始めた四人を遠目で眺めている壮年二人は、実に爺くさいやり取りを。

さり気なくゼニーを賭けている三人は色々と期待した眼差しで。

「ふぁ…ぁあ…………あー……何やってんだ、あいつら?」

「…不毛な喧嘩。あ、あっちで勝敗賭けてるっぽいから参加してくれば?」

「…そーすっか」

漸く目覚めたニードルマンは賭けに参加し、トマホークマンはこれが純粋な喧嘩ならなぁ…と密かに思い、マグネットマンはただただ額を押さえていた。切実に胃薬が欲しい。

「…お前ら、オペレーターなんだろ。自分達のナビどうにかしろ…っ!」

『えー……ああなったロックマンって、俺の言うこと聞いてくんないんだよ…』

『どうせ直ぐ終わるんだ。ブルース達の好きにさせろ』

『大した実害も出ないだろうしな』

「いや、出るんでマスー!!」と日暮が叫ぶ声が聞こえたが、三人は目を逸らしたり何だったりで素知らぬふりをしている。ちなみに、燃次は花火作りが佳境に入ったとかどうとかで工房に籠もっているため、不在。

たった一人の抑止力がいない今、彼らの(迷惑な)争いを止めることは誰にも出来なかった。

止めることを諦めた日暮とナンバーマンは、店の緊急閉店に踏み切った。…暫くの間はそうなるだろう。哀れ、ヒグレヤ。

と−

「…何だ、全員揃っていたのか」

リンクを使って現れたのは、一目見ただけでは男としか思えぬ女性型ナビ、サーチマン。

「あ、サーチ!あいつらいきなり喧嘩始めちゃってさ〜」

「喧嘩…?」

姿を認めるなり抱き付いてきたトマホークマンの頭を撫でてやりながら彼の指差す方を見れば、凄まじい戦闘を繰り広げている戦友達。

さっぱり意味が分からず、首を傾げた彼女は、取り敢えず声をかけることにした。

「何をしているんだ、お前達」

女性にしては少し低く、男ととるにはやや高い中性的な声は、何者にも邪魔立て出来ぬ壮絶かつ不毛な争いを一瞬で終了させた。

(さ、流石………!!)

としか言いようが無い。

固唾を飲んで見守る八人(+四人)を置いて、サーチマンは恋するはた迷惑四人共に歩み寄る。

「サ、サーチ……何時の間に…」

「ついさっきだ。…で?どうして喧嘩などしていた。日暮とナンバーマンに迷惑だろうが。場所の一つぐらい弁えろ」

−誰にも言えなかったことをはっきりと、単刀直入に言い切ったサーチマンを、この場のほとんど全員が尊敬した。

うなだれた四人をその深紅の瞳で流し見た彼女は、そのまま流れるように蚊帳の外化している九人に目をやり−

静かに、目を伏せた。

「………サーチ?」

「…………お前達が喧嘩をしている時は、大概俺が原因だろう」

心無し気落ちしているような声音で、四人は漸く、下らないことで彼女を悲しませたと気付いた。…実際には、彼女は間接的に周りに迷惑をかけていることを申し訳無く思っているだけで、彼等とは大いに見解がずれているのだが、それは気付かぬ方が幸せだろう。



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