-1-
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヒグレヤの電脳では、火花が飛び散っている。
「…あのー……店先で喧嘩をされては困るんですが…」
ナンバーマンの気弱な声は、原因四人にはまるで届いておらず。
モニター越しのオペレーター達も、ただただ苦笑するしかなかった。
戦乙女は高嶺の花
「てゆーかさ、何で君達が此処にいるわけ?」
いつもは温厚なロックマンの、透き通るように高い声は今は酷く刺々しい。翠玉の瞳は睨み付けるように鋭い。
「何処にいようが俺の勝手だろ。お前に文句言われる筋合いはねえ」
返すナパームマンの声音は通常では有り得ない程荒々しい。紅玉の瞳はぎらついていると言っても良いほど、炯々と輝いている。
「ナパームマンの言うとおりだな、ロックマン」
言いながらブルースは、二人、いや三人を冷えた瞳で流し見する。三人の存在を不快に感じ取っているようなのは明らかだ。
「…何にせよ、目的は同じらしいな、お前達」
静かに響く、重量感のある低い声はカーネルのもの。流石と言ったところか、他三人よりも余程落ち着いている。
しかし、傍観者達には全員が全員、しょうのない事で不毛な争いをしているようにしか見えなかった。
「…何なの、アレ?」
「……恋する男共の馬鹿な口喧嘩」
あっさりと一言で切り捨てたのはCFナビメンバーで実はブルースを超えた苦労人であるマグネットマン。その隣で首を傾げつつ尋ねたのはトマホークマンだ。やや後方ではナイトマンが静かに頷き、三人が呆れているのは一目瞭然。
ナイトマンの更に後ろでは、何やら騒いでいるロール、メディ、ジャイロマン。と寝ているニードルマンに瞳を閉じてブロックにもたれかかっているシャドーマン。
「これは、面白そうねぇ…」
「あ、じゃあ、誰が「彼女」をオトすのか、賭けてみない?私は断然、ロックマンよ!」
「俺はカーネルかな〜」
「あたしはブルースね」
(他人様の恋愛事情を勝手に賭事にするなぁぁあああ!!)
…こういうツッコミを、実際に声に出せない辺りがブルースとの違いであろうか。
妙なところで呑気なCFメンバーの悩みの種。内一つは現在展開されているロックマン、ブルース、ナパームマン、カーネルによる一人の女の巡り会いであった。
−−−−−−−−
→