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ヒグレヤの電脳では、火花が飛び散っている。

「…あのー……店先で喧嘩をされては困るんですが…」

ナンバーマンの気弱な声は、原因四人にはまるで届いておらず。

モニター越しのオペレーター達も、ただただ苦笑するしかなかった。




戦乙女は高嶺の花




「てゆーかさ、何で君達が此処にいるわけ?」

いつもは温厚なロックマンの、透き通るように高い声は今は酷く刺々しい。翠玉の瞳は睨み付けるように鋭い。

「何処にいようが俺の勝手だろ。お前に文句言われる筋合いはねえ」

返すナパームマンの声音は通常では有り得ない程荒々しい。紅玉の瞳はぎらついていると言っても良いほど、炯々と輝いている。

「ナパームマンの言うとおりだな、ロックマン」

言いながらブルースは、二人、いや三人を冷えた瞳で流し見する。三人の存在を不快に感じ取っているようなのは明らかだ。

「…何にせよ、目的は同じらしいな、お前達」

静かに響く、重量感のある低い声はカーネルのもの。流石と言ったところか、他三人よりも余程落ち着いている。

しかし、傍観者達には全員が全員、しょうのない事で不毛な争いをしているようにしか見えなかった。

「…何なの、アレ?」

「……恋する男共の馬鹿な口喧嘩」

あっさりと一言で切り捨てたのはCFナビメンバーで実はブルースを超えた苦労人であるマグネットマン。その隣で首を傾げつつ尋ねたのはトマホークマンだ。やや後方ではナイトマンが静かに頷き、三人が呆れているのは一目瞭然。

ナイトマンの更に後ろでは、何やら騒いでいるロール、メディ、ジャイロマン。と寝ているニードルマンに瞳を閉じてブロックにもたれかかっているシャドーマン。

「これは、面白そうねぇ…」

「あ、じゃあ、誰が「彼女」をオトすのか、賭けてみない?私は断然、ロックマンよ!」

「俺はカーネルかな〜」

「あたしはブルースね」

(他人様の恋愛事情を勝手に賭事にするなぁぁあああ!!)

…こういうツッコミを、実際に声に出せない辺りがブルースとの違いであろうか。




妙なところで呑気なCFメンバーの悩みの種。内一つは現在展開されているロックマン、ブルース、ナパームマン、カーネルによる一人の女の巡り会いであった。




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