猫かぶりとうっかり(EXE:FE的パロ)
2013/09/09 02:12
他のあらゆる種族との交わりを嫌い、世界の何処かに隠れ住むとされる飛竜の中にも、外の世界に羽ばたくことを望む変わり者は何体もいる。
現代の乙女とされる少女の騎竜、ロックマンもその内の一体だ。彼は自身の隠れ里の中で伝説と謳われた蒼き飛竜だとか何とかと祭り上げられていた所であっさり脱走し、かねてより強い興味を抱いていた外で、そこそこの自由を謳歌していたのである。
さてそんな彼の前に一人、とても興味深い(と彼は感じている)存在がある。名をライカ。「どちらでもない」青年である。どっちかと言えば、いやほとんど人間寄り。
不思議なことに、外の生き物達は「どちらでもない存在」、すなわち混血児をすこぶる毛嫌いするのが共通事項であるらしい。そんな中に晒されてきた彼は、他者不信の塊と言っても差し支えのない、孤独な存在と化していた。
けれども更に不思議なことに、彼は極々少数の存在には心を開いているという。
だから、問い掛けてみたのだ。
「ね、ライカ君」
「……何だ?」
「僕は、君のトモダチ?」
瞬間、彼の瞳が多少揺れたのを、見逃さなかった。けれど、そこからは肯定か否定かは、読み取れない。
それがすこぶる嬉しいので、ロックマンはこれ以上言葉を重ねず、彼の返答を待ち続けた。何時までも待ってやるつもりだった。
けれど、返しの言葉は想像よりも遥かに早くやって来た。
「…………仲間、だとは思っている」
「へえ。ありがとう」
自分が猫かぶりなる類いの存在なのは分かっていたが、今回は本音だ。彼の視線からするに、信用はされていないようだが。
「うっかりしたなあ」
思わず漏らした呟きは、混血児の青年にはただの言葉と受け止められたらしい。それにもまた感謝を述べたいのだが、きっとまた疑惑の瞳を向けられるだろうから、止めた。
(割りと堪えるんだよねえ、あの視線)
(は?)
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竜だけれども猫かぶりのロックマン
お題配布元→
空をとぶ5つの方法
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