※物質透過能力(EXE×流星:FE的パロ)
2013/09/09 02:12

元暗殺者の現シスター、星河スバルは常人にはまずあり得ない、特異な能力を持っていた。

それは「物質透過」と言うもので、簡単に言えば、彼女はありとあらゆる物質を無視して移動出来るのである。勿論欠点はあるが、しかしその特性はそれを補って余りある程の利点を有していた。

そう、当人が考えているよりも、ずっと。

「そういう訳だ。頼まれてくれるか」

「別に、構わないけど……」

セイバー、すなわち皇城御用達ギルドが解体された今、あくまでもただの宮廷神官と言うのが、スバルの現在保証された身分である。

対し、目前の人物は六大貴族の一角、伊集院家の現当主。襲撃事件により主要人物の大半が命を落としたことで力を削がれたとはいえ、現在でもその名に相応しい権威を誇っていることは確かだ。

そんな大貴族の当主という人物から直々に連絡役を任されるのだから、本来ならば胸を張るに値するものである。しかし、その能力を悪用されていた時期を抱えるスバルにとっては内心複雑なものがあった。

(あんまり使いたくないんだけど)

自分が頼られているのか、それとも能力を頼られいるのか、時折分からなくなってしまう。

「どうした」

「何でもないよ。……じゃあ、行ってくる」

「頼む。……言っておくが、お前だから任せてるんだ。期待している」

「そう」

時折心を見透かされているように思えるのは、ただの気のせいなのだろうか?

きっと微笑んでいるのであろう戦友、炎山を振り返りはせず、スバルは扉を『通り抜け』た。



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長らく放置されていた代物。「義務感覚」の少し前にあたる話。

お題配布元→空をとぶ5つの方法



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