夕暮れに君が泣く(流星:RPG的パロ)
2013/05/26 16:26

星河スバルが忽然と姿を消したという事実は、かの少年に大きなダメージを与えたようだった。

「いつまで鼻水垂らすんだよテメー」

「だって、僕のせいでスバル君が……」

確かに彼の言う通りではあるのだが、だからと言ってずっとめそめそされても困る。と言うか見ていて非常に鬱陶しい。

そもそも、こっちだって本当は今すぐにでも「奴ら」の本拠地へと殴り込みたいのだ。しかしそれでは、恐らく敵地に捕らえられたのであろうスバルの身が、より一層危険にさらされかねない。それで彼女の奪還作戦が練られているのである。

正直言って会議なんぞ聞いてはいられない。そう漏らしたらじゃあその辺で待ってろとあっさり外に放り出され、そこにこの事態を招いた少年悪魔がいた。そして今に至る、と言うことである。

彼――双葉ツカサに対する本音は、「今すぐ一発殴らせろ」。そんなことをしても事態は全く変わらない。けれども世の中正論だけでは成り立たないのだ。ことに、「感情」というものに関しては。

だが、ウォーロックはかろうじてその私情を抑えていた。――こいつもまた、あの双子座精霊に踊らされた身なのだ。
(今こいつにギャアギャア喚くのもな……)

何か、違うような気がする。

「おい」

「……なんだい?」

「スバルを助けんのに協力したら、殴るのは止めといてやる」

素っ気ない物言いになったのは、完全に許す気は全くないからだ。

情けなく泣いていた少年はしばし瞬いていたが、その言葉が獅子精霊の精一杯妥協で、かつ柔らかな物言いであることに気付いたらしく、間の抜けた顔でコクコクと頷いた。

「うっし」

何だかんだ言って、スバルは契約主だ。そして彼女は、裏切られて尚、こいつを友人と呼び信じようとしていた。

(少しは見習ってみてやるか)

アイツの言う、「絆」ってやつを。



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ウォーロック、ちょっと大人になるの巻

お題配布元→空をとぶ5つの方法


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