静寂に寄り添う(ポケモン)
2013/04/02 23:24
全てはこの一言からであった。
「一つ夜のクルーズはいかが、騎士様」
その誘いはまずまず悪くなかった。故に断ることもなく、アルタイルはアンタレスの背に乗り、シンジ湖に揺らめく月光を背景とした優美なる一夜を過ごしているのだ。
さて、あまり人の事情を詮索しない主義である彼だが、彼女の出身地だけは知りたかった。どうも、彼女からはシンオウの気がしないからである。
自分たちの主は、若年であるが故に未だシンオウ以外の地を踏んだ経験が無い。だからこそ気に掛かる。
矢先、彼女がゆっくりと口を開いた。
「ね、騎士様。あたくしとお嬢様が出会ったのも、こんな日でございましたのよ」
「そうか。して、何故それを私に?」
「貴方があたくしの故郷をお知りになりたがっていると、ルギウスから聞きまして」
「……」
いつになったら、あのおしゃべり好きのお転婆娘は口を閉じることを覚えるのか。
溜め息をつきながら、続きを促す。
「お嬢様はまだ、何も知らない無垢な子だった時代。そんな折り、あたくし、遥か南国ナナシマから此処まで、諸々ありまして連れてこられましたの」
「うむ」
「そして、これまた諸々の理由で初々しいお嬢様に見初められてお供させていただいているわ」
「成る程」
「細かいところは省かせてくれる騎士様、嬉しいわ」
これは褒め言葉と受け取って良いのだろうか。取り敢えず保留しておく。
「これぐらいにしておきましょうか。あまり長引くと、雰囲気が枯れ果ててしまうわ」
「秘密の逢瀬?」
「いいえ、夜闇のバカンスよ」
それはなかなか悪くない。少々ありきたりだとしても、むやみやたらな斬新より遥か場に合う。
それにしても、女性の秘を知るというのは、やはり己のが性に合わないものだ。どうにも気が引けてならない。
「あら、お気になさらずとも良いのに」
「何故?」
「あたくし、騎士様のお人柄を信頼していますもの」
……どうやらこれは、真摯に受け止めても良さそうだ。
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ラプラスのメイン繁殖地は繋がりの洞窟か凍て滝の洞窟だと思い。ヒカリの手持ち達は基本秘密主義(約一体除く)
お題配布元→
空をとぶ5つの方法
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