※未だ夢見る大馬鹿者(X:RPG的パロ)
2013/03/10 00:29

アクセルは元々、セイバーにとっては部外者である。本来所属している警備会社レッドアラートの意向とセイバーの意図が絡み合った結果、彼は「社会勉強」として出向することになったのだ。勿論これは建前で、本音は全く違うのだが。

とにもかくにも、彼はその組織にて、すこぶる面白い存在に出会った。名前はエックス。「四千年前の生き残り」だかなんだかいう、今時流行らないような冗談にしか思えない肩書を持つ女性である。

最も、彼女自身そんな昔から生きているなどとは露とも思っていないらしい。と言うのも、これは「彼女と同じ時間を生きていた」という恋人、ゼロが言い出したことだからである。彼は生まれ変わる前、つまり前世代々の記憶をそっくりそのまま受け継いでいるという。いかにも眉唾ものだが、現実しか直視しないような死神がそれを肯定しているのだから侮れない。

何にせよ、気になるのはエックスの方である。彼女は今時珍しい、完全平和主義者だ。戦いを好まず、敵を討つしか無い場面ですら躊躇する。何故かはよく分からない。悪い奴が改心することなんて殆ど無いのに、彼女はいつもそれを期待しているのだ。

「分かんないなぁ」

ぽつんと呟く。直ぐに発砲音で掻き消した。ここは広い射撃場があるのが良い。弾も自腹じゃないし、他の面子の撃ち方なんかも見て聞いて盗める。この間も銃のプロ(というか精霊)に褒められたばかりだ。その後悪いクセにまで言及されたけれど。

ちらりと右隣を見る。件の彼女が小型携帯式波動砲、なんて物騒な代物でターゲットの胸元をぶち抜いていた。練習では完璧、だけれども実戦ではそれが出来ないのがエックスというヒトであるとは、もうとっくに分かっている。

(確か、「夢」を見てるんだっけ?)

「誰も戦わなくてすむ、優しくて平和な世界」なんていう、どうしてだか叶いそうにもない夢想を、ずっとずっと、

(ずーっと)

引き金に指を掛ける。ガウン。

マグナムから吐き出された銃弾が板切れの標的に描かれた、人間の頭部を木っ端微塵に弾き飛ばす。

「凄いな、アクセル。今日は百発百中じゃないか」

「フフン、まーね。日頃の行い、ってやつ?」

「練習の賜物、だろ?」

「かもね〜」

重なる轟音、貫かれた急所。少しズレた。こっちのは。

(何でだろ)

こんな人程、人殺しの腕は良いのだから。

綺麗に焼け落ちた的の銃痕を見ながら、少年はそう思う。そう、眉間に開いた一つの穴をとっくりと見詰めればこそ、尚更。



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どうもエックスの口調が安定しない。イレハンや7、8じゃちょいちょい口調違う感じするし……。PXZではどうなんだろ
バスターは実弾じゃないので砕くというか焼くってイメージ

お題配布元→空をとぶ5つの方法

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