青と赤の攻防(ポケモン)
2012/12/12 01:12

「いい加減決着をつける時が来たようね、兄貴」

「……みたいだ」

一番道路のやや中腹、少しばかり切り開かれた空き地にて、現在一人の少女と一人の青年が火花を散らしていた。

少女はブルー、青年はレッド。カントー地方では名の知られた占い師と、カントー・ジョウト地方前チャンピオンと、接点があまりない様に思われる二人が何故相対しているかと言うと、

「連絡も無しに下山して来たと思ったらアタシが楽しみにしてたぷっちんプリン全部食い尽くしやがって!今日という今日はホンット許さない!」

「そっちこそ、俺の大事なロールケーキを一本丸ごと平らげただろ……?あれはヤマブキの隠れ名店アルティーレの秋季限定、しかも数量限定マロンクリーム味だったんだぞ、おあいこじゃないか」

「そんな問題じゃないのよ!」

「うん分かってる。という訳でいけ、ランス」

突然放り出されたプテラのランスは、明らかに困惑していた。普段ならこう言った喧嘩事は大歓迎する血気盛んな彼だが、今回ばかりは着いて行けないらしい。

「兄貴がその気なら、遠慮なんかしなくて良いわね。行きなさい、アザゼル!」

荒々しく投げ付けられたボールから、カメックスのアザゼルが飛び出した。ランスと同様、困り果てた様子だ。元々真面目な気性の彼は、ちらりと主の少女を見上げた。が、その表情を見て即座に抵抗を諦めたらしく、すぐにランスと向かい合った。

「さあやりなさい!"ハイドロポンプ"!」

「"ストーンエッジ"」

アザゼルのロケット咆から勢い良く噴き出した水流泡弾を、ランスは足元から持ち上げ、吹き飛ばした岩槍で相殺した。弾けた水泡が翼膜に飛び散り、砕けた岩片が甲羅を跳ね回る。

「流石にやるじゃないの」

「そっちこそ」

激しい流れの水は岩を削り押し流す、つまり水タイプは岩タイプに有利という相性の良し悪しがあったにも関わらず、弾かれ合ったお互いの最高ウェポン。だからこそ、次の策略構築を楽しめるというもの。

さてどうやってギッタンギッタンのメッタメタにしてやろうかと、兄妹は考え出す。食べ物の怨みは深い深い。

七面倒くさい主達に付き合わされる忠義深いポケモン二体はただただ呆れたように溜息をつく。周囲にいつの間にか集まっていたギャラリー達は歓声を上げ野次を飛ばし、高名なる占い師と前代チャンピオンという謎の対戦カードの進行を待ち侘びていた。



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要するにただの兄妹喧嘩である

お題配布元→空をとぶ5つの方法


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