※闇さえ砕く力で(EXE:RPG的パロ)
2012/07/20 17:54

酷く、それは酷く穏やかな時間だった。

何時か向き合わなければならない、「記憶」という現実が訪れるまでの、いわば嵐の前の静けさ。

「でさ、ロックマンが−−」

楽しそうに己の契約精の、ちょっとした勘違いを語る彼女の表情は、とても可愛らしい。特別な感情を抱いているせいか、余計にそう感じる。

今、自分達の周りには誰もいない。つまり、彼女の笑顔を独占中。その事実に少し、優越感。

……だけれども、もうすぐ、それは終わってしまうのだろう。

(俺がいなくなったら)

何だかんだ言って、結局のところ甘ちゃんの彼女は、探し出そうとするに違いない。そうならないように、手を打たなければいけない。今、此処で。

簡単だ。今までのように、此処に来るまでのように振る舞えば良い。人に嫌われるように、遠ざけるようにすれば。

……本当に?

(そんな、こと)

出来るのだろうか。他の誰にでも、嫌われて構わない。

なのに、彼女に嫌われるのは嫌だ。

好きだから。どうしようも無く好きだから。本当は、そんな風に想うことは、自分には許される筈も無いのに。

「な、ライカ。今度さ、アイス食べに行こうぜ!メイルがさ、新しく出来たアイス屋の場所教えてくれたからさ、お前と二人で行きたいなー、って」

鮮やかな笑み。そう、心の内に潜む闇なんて、呆気なく打ち砕いてしまうような、そんな力を持った。

(これが)

何時までも、自分のモノならば。

(なんて欲深いんだろう)

永遠に、彼女が自分だけを見ていてくれたなら、なんて。

こんな自分に、綺麗な明日なんて来てくれるのだろうか。



(分から、ない)



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ちょっとネガティブってるライカさん。元ネタはまどマギのEDより。


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