アルカナ(EXE:RPG的パロ)
2012/05/25 10:15

「可能性」。

たった三文字。音にして五文字。それだけ見れば、何てことはない、ただの言葉。

しかし、それは、無限大の意味を持つようになるのだ。当て嵌めるべき人物に与えれば。

『ホント、魅せてくれんねえ。お前の占いは』

「ふん」

別に占った訳では無い。ただ、落ちたのだ。ヒラリヒラリと、タロットカードが、一枚。

拾い上げる。ナンバー零、「愚者」。御丁寧にも正位置。

幸運をも災厄をも呼び込む存在。

『さっきまで何考えてた?』

「物事なら「可能性」。人物なら光熱斗」

『じゃあ、光熱斗に相応しいアルカナは「愚者」になるってか。なかなかピッタンコだね。俺的には「太陽」か「世界」って感じだけど』

「良くも悪くも、そうだな」

あの無邪気さは、周りを支え続けるものになるのだろうか、それとも、……

「アルト」

『ん』

「世の中には、知らない方が良いことも、あるんだな……」

『てか、普通知ったり出来ないことだし』

「それは、そうだが」

『とにかく、他の奴らには黙っとくこったな。混乱させるか呆れられるかのどっちかになるぜ、絶対』

「……」

己のナビが提示した、至極賢明な判断に、コクリと頷く。

(だが、何時かは)

必ず、話さなければならないのだろう。

今だかつて外れたことの無い己の予感を。

「愚者」のカードをケースに直しながら、彼は静かに、薄氷の瞳を、閉ざした。



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超久々のSSS。
最近P3Pやってる影響もろ出し。熱斗は「愚者」でも良いと思ったんだ……

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