※剣をとれ、(EXE:FE的パロ)
2012/02/27 00:23
亜麻色の瞳の乙女。
世界に広く知られる伝説の英雄。世界中の騎士、いや戦う者達全員の憧れ。−−ただの一少女に過ぎない筈の、俺の呼ばれ名。
勿論、小さい頃は浮かれたりした。だって「英雄」扱いだぜ?嬉しいに決まってんじゃん。
目が覚めたのは、案外早かった。十歳になる前かな。俺は町外れの森に、ママとパパには内緒で勝手に入り込んだ。そこで、小さな竜を見付けたんだ。
空とは違う蒼色の、綺麗な竜だった。背中辺りに、酷い怪我を負っていたことを除けば。
当然ながら俺はビックリして、怪我を治そうとして、そんなことは出来なかった。それでふと分かった訳だ。「俺は英雄なんかじゃない」って。
だってそうだろ?英雄は他人を救う人だ。実際亜麻色の瞳の乙女は治癒の杖も使えたみたいだし。それに彼女は、戦争を終わらせたことで、何千、いや何万どころか最早数え切れない程の命を失わせずに済ませたんだ。
俺にはそんなこと出来ない。剣や槍だって触ったことが無い。
英雄とは真逆の俺に、気付いたんだ。
だから、その竜を何とか(近所の人とかに手伝ってもらって)家に連れ帰って、それからパパとママに切り出した。
「剣の修業がしたい」ってさ。
反対されると思ってたし、実際反対されたけど、何がなんでもやってやるって強く言い返したら、折れた。もしかしたら元々考えてたのかもしれない。その頃よりちょっと前から、魔物が多くなってきてたから。
それで俺は次の日から、剣をとった。刃を潰した練習用の剣。重かった。一振りにも苦労した。後はがむしゃら。それは覚えてる。
今はって?剣の修業もしてる。槍も始めた。炎山に教えて教えてとしつこくせがんで(本当は炎山に教えてもらうのは死んでも嫌だったけど、炎山しか槍の使える人は思い付かなかった)、超スパルタ授業されてる。
でも、俺は強くならなきゃいけないんだから、どんだけキツくっても頑張らないと。
だって、俺は英雄を演じないとダメな立場なんだからさ。
(そして今日も俺は、有象無象の為に剣をとる)
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英雄とは自分からなりたいようになるものではなく、その人の功績に対し人々が勝手に与える称号である。
というTOD2やFE紋章、暁をやっていて思う理屈
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