※匂い(TOV・G・X:異種族パロ)
2012/01/13 08:14

「あー…。懐かしいな、この匂い」

スンスン鼻を鳴らしながら、ユーリが小さく呟く。

と、何故か普通の人間より、遥かに優れた聴覚を持つジュードが、鮮やかな金の瞳を彼女に向けた。実に不思議そうに。

「沼地の匂いが懐かしい、ってどういうこと?」

「沼地の匂い、っていうか、なあ…」

気付けばアスベルとヒューバートの視線もこちら側。弟は何と無く察したらしく、その表情は僅かに陰っている。一方、姉の方は如何にも興味津々、と言った体(てい)。

一端の軍人であるヒューバートはともかく、記憶喪失のジュードと、世間知らずのアスベルに告げて良いものなのだろうか。

が、二人の好奇心は収まることを知らず、答えを言うまで無言の追求が続く可能性は大。

「死体の匂い」

仕方なく白状する。さあどんな反応がくるか。

「死体……」

「……キツイなあ」

ジュードは初めて口にするのか、ゆっくりゆっくり舌に転がす。アスベルは妙に遠い目だ。

すると何故だか悪戯心が沸いて来る。

「ラムダはどうだ?」

この場には意識を現していない存在に呼び掛ける。

と、アスベルの空色の瞳が、瞬く間に紫苑に染まる。表情も一変、この天然お嬢様なら浮かべる筈も無い不機嫌そのものに。

「我は当の昔に嗅ぎ慣れておる」

「だろうな」

アスベルの内に潜む彼、ラムダなら死と隣り合わせであることは日常に過ぎなかっただろう。

死体の匂い。忌ま忌ましくて、けれど離れることなきや。

「所で、何時まで喋っているつもりなんですか?このような場所に留まり続けるなんて、非効率そのものです」

それまでだんまりだったヒューバートの声が、しんみりしていた空気を切り裂く。

「早く行きましょう、皆さん」

「そうだね。……此処には、あんまり長く居たく無いし」

「我は別に構わんぞ」

「俺はお断り、だ」

湿気て重い空気を両肩に乗せながら、四人は再び歩き出す。

彼等の後方。泥と藻で着飾った死体が何体も蠢いていたが、それを彼等が知る由も無い。



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グダったので無理矢理終わらせてみる。
ユーリ、アスベル、ヒューバート、ジュードという変なパーティ。場所はIの……あれ、死体の湧き出る沼地って名前何だったっけ


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