※マダム・メリーゴーランド(EXE:RPG的パロ)
2011/09/12 22:09
例え世界が壊れても、「私」−「俺」だけは必ず生き残れてしまうから。
「世界を壊したいなら、安心して壊せば良い」
そう言って、一夜限りの主は嘲笑(わら)った。
くるくる回るメリーゴーランドも、時折叫び声の聞こえるお化け屋敷も、彼女が紡いだ幻だ。実際に広がるモノは、無機質な訓練場。
彼−帯広シュンが制圧した、彼女の居場所の一つ。
「……ふーん?」
彼女の言う世界とは、この偽りしかない幻の空間を指すのか、それとも真実、「世界」のことなのか。
判断は下さない。どちらもおそらく、目の前の死神にとっては同じなのだろうから。
そんなことよりも。
「やっぱり、君のことが気になるよ。魂の有り様も、朽ちない身体も、君自身も。何もかもが、ね」
例えそれらが、不可侵の域に存在していようとも。
時に、この世の大綱をぶった切ってでも真実を探りたいという欲求を満たしたくなる。それは科学者の本能なのかもしれない。
「ならばやってみせろ。……よほど、禁忌を犯した者の末路を体験したいようだからな」
スラリ、黒塗りの鞘から引き抜かれた白銀の刃が、瞬く間に漆黒の大鎌へと姿を変える。
死神の愛武器を見遣って、狐は笑った。彼の手の内で、分厚い魔導書が風も無く踊り狂う。
「さて、禁忌を犯したのはどっちかなあ?」
生きながら死んでいるとも、その逆とも言える、男装の女に向けて。
挑発さながらの笑みが、唇の端に自然と浮かぶ。
死神は理解しているのだ。お遊戯を求めているのは自らではなく、幼い形(なり)の科学者であるということを。
(ならば、引きずり込むだけだよ)
仕掛けたお遊戯の、本質に。
「炎山様っ!!」幻術空間の外に弾き出された、剣精霊の悲鳴じみた声が、わんと響いて。
瞬間、狐目掛けて振り落ちた稲妻の轟音が、空間をつんざいた。
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元ネタは悪ノPさんの「マダム・メリーゴーランド」。
初登場シュン。彼と炎山のペアが好きなのは鷹岬版の影響かな?都合上ブルースには画面外に出てもらいますた
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