双月(EXE)
2011/08/12 19:53
「……、…兄さん」
丸イスに座って、ただひたすら蜜柑の皮を剥く「兄」を呼ぶ。まだ慣れない。
と、「兄」は自分と全く同じ顔をこちらに向けてくれた。
「何だ、ライカ」
「……いや、別に…」
入院中のライカとチームの橋渡し役として、僅かばかりの起訴猶予を与えられたラグは、召集をかけられた時以外は基本的に、「弟」の病室に居着いていた。
存在すら知らなかったライカにとって、「兄」は戸惑いの対象でしかない。けれど、ラグはずっとずっと「弟」と共に過ごしたかったらしいから、ライカはラグの好きなようにさせていた。
「ほら」
「……」
古傷だらけの白い指で摘まれた蜜柑が唇に押し付けられる。抵抗する必要も無いので大人しく食べた。甘い。
(自力で食べられるってのに)
兄さんは心配し過ぎなんだ。
普段ならズバリ切り出せるのに、今は何故か文句を言えない。
ライカは「兄」にバレぬようこっそりと溜息をつく。蜜柑の甘酸っぱさだけが、口の中にじんわりと広がった。
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ライカとラグの微妙な関係。時間軸は一応コスモマン討伐後から白組加入前のどっか。
ラグがどんどんブラコン化していくよぉ…
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