※織姫と彦星(EXE)
2011/07/07 18:50

どんよりと、灰黒の雲が星空を塗り潰していた。

「これではその、織姫と彦星とやらは見えんな」

「……そうだな」

二人共、任務先から、ほんの少しの間だけ、と決めて抜け出したところ。実体化しているのは当然ながら、ナビのままではまともに身動きが取れないから。

シャーロで製作されたナビであるサーチは、ニホンやアジーナの知識に乏しい。それを知っているブルースは、彼女が主と共にニホンへ来る度に、あれやこれやと伝統行事や(ニホンの)常識を教えていた。

その内の一つが七夕で、それがちょうど今日だから、という理由で二人は行動を起こすことにしたのである。

しかし夜になってから、こうも直ぐに天候が悪化するとは思っていなかったが。

「仕方ない。戻るか…」

見えないのでは話にならない。雨が降り出す前に、願い事をぶら下げた笹を屋根の下にでも避難させねば。

くるり、踵を返そうとしたブルースはしかし、サーチがいっこうに動き出そうとしないのに気付いて溜め息をつく。

「どうした」

「……」

ポツンと、呟きが聞こえた。少しだけ。

「織姫と彦星は、…」

もう聞こえない。吹き荒れる風が邪魔をしてくる。

「サーチマン?」

「……何でも無い。それより、戻るのだろう?」

サクサク、青草を踏む音だけがやけに大きく聞こえた。



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七夕記念…記念…?この内容。
ちなみに奈良辺りは雨降りで織姫と彦星見える訳無いんだぜ!


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