※サンドリヨン(EXE:パラレル)
2011/06/24 18:23

仮にガラスの靴なんて言う物が現実にあれば、今頃俺は、暖炉にそれを放り込んでいたに違いない。そしてとろとろと火の中に溶けゆく様を見届けるのだ。

勿論これはただの現実置き換え。実際目の前に突き出されたのはガラスの靴なんて脆く優美な物ではない、月明かりを反射して鈍く禍禍しく光る、刃渡りの短い果物ナイフ。

「何の真似だ?」

「……何と無く」

あくまでも淡々と問えば、目の前の女−ライカはあっさりナイフを引く。俺の頬に血の線を作ることは忘れないで。

「首を掻っ切ってやろうかと思っただけだ」

自分達にとっては玩具に等しい凶器を鞘にしまいながら、ライカもまた淡泊に答えた。

「随分とたいそれたことを。大体、始めから殺るつもりなら頬など切る必要は無い筈、だが?」

「……」

ビキリ。何かの割れる音が聞こえて窓を見れば、窓ガラスにヒビが走っていた。後少し衝撃を加えれば、粉々に砕け散るだろう。

無意識に何かを壊そうとするほど気が立っているらしい彼女を一々刺激する程、俺は愚かではない。

「……そろそろ帰る。何があったか知らないが、これ以上気を荒ぶらせないことだな」

少しも動かず、淡雪のごとき柔らかくのしかかる殺気を放つ彼女に『忠告』して。俺は狭間に戻った。

先程までの状況はまるで、最後を固定化された哀れなお伽話のようだ、と思いながら……



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元ネタはボカロの「サンドリヨン」。そんなにぽく無いのが残念だけどな!(ちなみに炎山視点のつもり)


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