※闇の帳(EXE:RPG的パロ)
2011/06/21 10:33
ゆるゆる、重たい瞼を開く。一番最初に見えたのは鉄格子、次は汚いパイプベッド、そして部屋の片隅で何処か遠くを見ている女性の精霊。
「……、」
名前を呼ぼうとして、止める。代わりに薄っぺらい毛布を引きずりながら、彼女に近付いた。
「きの……ね、…た…?」
「………」
返事は無い。分かっていたこと、だけれど。
色の抜けた肌をさらす彼女に、毛布を被せる。自分も毛布の中に潜り込んで、人形のように冷たい彼女に寄り添った。
「…う…あ……?」
「……だいじょ、ぶ…」
ビクリ、体を震わせた彼女にそう言って。縫われた跡の目立つ白い指で彼女の瞳を閉ざす。紅い眼が瞼に隠れる。
その間にも、何回も、何回も、大丈夫だと言い聞かせ続けて。
(だって、そう思わなきゃ)
何もかも真っ暗で狭くて息苦しくて、だから恐くて恐くて仕方ないんだよ−
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幼少期緑組。心が壊れたサーチとまだ辛うじて正気のライカ
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