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(学パロ)






君の口からこぼれる言葉

それは僕に向けて言っている言葉ではない






君はいつものマグカップで、コーヒーを口に含む。

いつも飲む、ブラックのコーヒー。
僕がのむのは、甘ったるいミルクたっぷりのもの。

僕が入れたコーヒーを、君はいつも飲んでくれる。
そしていつも決まって「おいしい」と言ってくれる。


うれしい。 その言葉が、すごくうれしい。

そして君は言うんだ。




「好きだ、この味」って。

「好き」って、言うんだ。僕のコーヒーに向かって。



その言葉に、僕はドキンとしてしまう。

もちろん僕に言っていないというのは分かってはいるが、
僕が入れたコーヒーに、おいしいだの好きだの言ってくれるから

僕だって、意識してしまう。

意識してしまうじゃないか。








「ねぇ、ジャイロ」
「あ?」


屋上には僕等以外だれもいない。

昼休みの始まりを告げる鐘が鳴った瞬間、僕等は真っ先に屋上にやってくるんだ。
今日も僕等が1番乗りだった。

そして君は、いつものようにコーヒーを飲むんだ。



パカっと音を立てて、缶コーヒーを開けた。

玄関前の自動販売機で売っていたコーヒー。
僕にはまだ飲めそうにない、苦い苦い、大人の味。

それを君は、迷いなく飲んでしまう。


「ねぇジャイロ」
「だからなんだよ?」

僕はコーヒーを指差した。

「それってさ、美味しい?」


ジャイロはちょっと困った顔をして、

「あぁ、うまいけど?」

キョトンとした顔で答えてくれた。



そっか。うまいんだ。そっか。

僕のいれるコーヒーと…どっちが美味しいのかな?



「ねぇ、ジャイロ」


僕は、君の瞳をまっすぐ見つめたまま問う。

「それ………好き?」


僕のコーヒーと、どっちが好きなの?

僕とそれ、どっちが好きなの?










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基本ジョニジャイって
ジョニイが一方的に好きな気がするんですよ…
てか私が書くジョニジャイって大体そうですよね。
20121215