君のにおい | ナノ





煙草のにおいがする、君の上着。
日の光にあたって、少し暖かくなっていた。

温かくなったから、さきほどよりもにおいは強くなっていた。
けど、決して嫌なにおいではない。

僕は、このにおいが好きなんだ。


こうやってにおいを嗅いでいると、まるで君がすぐそばにいるみたいで
まるで君が、ものすごく近い距離にいるみたいで
まるで君が隣にいるみたいで

君を、抱きしめてるみたいで…




「おい花京院、」

ハッとなって、声がした方を振り返る。

僕は小さく「なに?」っと言ってみせるけど、本当はすごく恥ずかしかった。たぶん顔も赤かったと思う。
けれど、そんなことを気にすることなく承太郎は微笑して僕に歩み寄ってきた。

「人の服でなにしてんだよ?」
「べ、別に、なにもしてないよ…」
「うそつけ」

承太郎に上着を取られて、僕の腕の中からにおいは消え去った。
少し寂しいと、僕は思った。



そしたら承太郎に 僕の肩を掴まれて


唇を うばわれる




少ししてから、お互い顔を離した。
しかし決して遠い距離ではなく、すごく近い、至近距離。


「…なんかね」
「…うん、」
「君の、においがしたんだ。」
「…で?」

承太郎に、頭を撫でられる。
そのまま僕は承太郎の腕の中に身をすべらせた。

「…すごく、良いにおい、だったんだ。」



顔は見えなかったけど、承太郎が笑っていると僕は思った。













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承花久しぶりに書きました〜。
やっぱこの2人はいいですね。
ちょっとしたイチャイチャでもかわいい。
2012/11/21