なぁ、俺さぁ。
隣にいる男が口を開けた。煙草を吹かして、視線だけをこちらにむけながら話しかけてくる。目の下に深い隈をつくったその顔は、前からでも横からでも酷さを感じさせる。
「ずっと前からお前が好きだったんだ」
その言葉に、耳を疑った。確かにそう言ったが、俺には冗談としか思えない。
男は笑ってしばらくして、
「嘘に決まってるだろ。バカスタス。」
と言って、その場を後にした。
冗談なのは知ってたし、別にバカなんて言われる覚えがないのだが。
しかしあの男の表情は、どこか寂しそうで、泣きそうだった。
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20130327
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