役立たずの偽り | ナノ








「もう、別れよう」



雨が降る中、傘を指して僕は言う。僕の胸の内を。さらけ出す。




「もう君なんて好きじゃないんだ。だから、」



だからもう、別れよう。





そんなこと、微塵も思ってないけど。 本当は別れたくなんてないけど。


傘を指す君の顔は見えない。僕の傘で僕自身が視界を遮ってるから。

君の顔を見たくないから。僕の顔を見られたくないから。




雨はまだ降り続く。



「おい」


前から君の声がした。けど顔は見えない。いや、いいんだ、これで。



その時、バッと傘を取られた。僕の傘を。
傘はずぶ濡れの土の上に投げ捨てられた。



僕は泣いていた。

君は、とても辛そうな表情をしていた。思わず泣きそうな、そんな顔。




「嘘なんてついてんじゃねぇ。この下手くそ。」




お前の嘘はバレバレなんだよ。




その言葉に、僕の涙が止まらなくなってしまった。







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雰囲気でかきました
20130104