餅はよく焼けているようだ | ナノ






エジプトの旅から帰ってきて数カ月がたったある日のこと。

最近、俺はよく学校に通っている。
いや、学校は通わなければいけない所だからよく通っているという言葉はおかしいと思うが、サボりが多い俺にとっては、よく来ている方という言葉のほうが相応しいだろう。

自分でも、どうして最近きちんと学校に通っているのかはよくわからない。
あのババアに行けと言われているからなのか、それともジジイに行けと言われているからなのか。それとも、それ以外に何か理由があるのだろうか。

学校に通うのは昔と同様、面倒だと思っているが、でもなぜか嫌な気がしない。




季節はもう夏だった。

蝉がミンミン鳴く季節。 たった七日の命なのに、全て鳴くことについやしてしまう。
すごく勿体無い。いや、勿体無いなんてもんじゃない。なんというか、とても儚い。







授業中、ふと窓の外を見れば、花京院のクラスは体育をしていた。
こんな真夏に炎天下のしたでサッカーなんて。考えただけでも暑苦しい。




ふと、花京院が相手ゴールにシュートを決めた。
まわりの男子から歓声が上がっている。

仲間たちと肩を組み合う花京院。
花京院は嬉しそうだ。自分の成果をみんなに誉められて。





あーなんか…胸がキリキリする。


俺は授業に耳を戻すことにした。









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ただの焼きもちやき
20121231