キーーン
コーーン
カーーン
コーーン…
チャイムが、昼休みが残り5分だということを知らせていた。
久しぶりに学校にきたが、やはりチャイムはいつ聞いてもうっとおしいものだ。
俺達はエジプトへ行きDIOを倒し、そして再びこの日本に戻ってきた。
花京院はDIOの攻撃で腹に穴を開けられるという惨たらしい傷を負った。
DIOを倒した後、意識の無い花京院を近くの医者の元へ急いで連れていった。傷を見せた医者に言われた言葉は「もうダメかもしれない」の一言だった。
普通、命を救うためにいる医者が言う様な言葉じゃないよな?俺は湧き上がる怒りと悲しみを内に秘めながら、黙ってその医者の言葉を聞くしかなかった。
医者は顎の髭をさすりながら、花京院の体の傷について語っていた。目につく動作であったが、そんなの俺にはどうでもよかった。俺はただ花京院の傷の容体が気になってしょうが無かった。
大事な仲間が。愛しいコイツが。花京院が。生きてくれることだけを願うことしか俺には出来なかったんだ。
幸いにも、花京院はなんとか一命は取り留めることができた。
傷は大きかったが、数か月でなんとか治るらしい。医者はそう言っていた。
俺やジジイが日本にきて、その数ヵ月後に花京院も日本に来た。
しかし傷はまだ完治しておらず、今度は日本の病院で入院しているらしい。
俺としては、アイツと近くになれたわけで、少し安心していた。
ある日。俺は花京院が入院している病院に来ていた。
入院をしてからは花京院とは全く会っていない。ずっと目を覚ましていないため会話も出来ていない。
今日行っても、もう花京院が目を覚ましているとは限らない。もしかしたらまだ起きてはおらず、最悪の場合これからも一生目を覚まさないかもしれない。
そんな考えばかりが、俺の心を一層不安にさせる。
こんなことばかり考えてどうするんだ俺は。
病室にはいると花京院は寝息をたてて寝ていた。俺がドアを開けた音には気がつかなかったらしい。
俺はベッドの近くにあった椅子に座った。お見舞いには来たものの、特別目的があったわけではなかったので、とりあえず花京院の寝顔を見つめていた。
いつみてもコイツの寝顔はきれいなものだ。これならいつまでも見つめていられる気がする。しかし、今はそんなことを考えている時ではない。
もし、このまま目が覚めなかったら…
そんなことが頭をよぎる。
いや、そんなことはない。ないはずだ。医者にだって診てもらってるし、このまま順調にことがすすめば絶対意識を取り戻すはずなんだ。
医者からの絶対的な治療が行われているのだから。安心だ。
そう思ってはいるのだが、頭のどこかで、もしかしたらの事態を想像してる自分もいる。
もし、花京院が…
しばらくして
視界の片隅で
なにかが動くのが見えた。
「か、かきょう…………いん?」
ヤツはゆっくりと重たそうな二つの瞼をあげるのに必死になっていた。
「……っ…ん……?」
そこにあるのは、紛れもなく意識のあるソイツで。その瞳で俺のことを確認すると、ゆっくりとこちらに意識を集中させた。
「承太郎………?」
「あぁ……大丈夫か?」
この姿のどこが大丈夫といえるんだ。以外と俺は馬鹿なのかもしれないと、改めて自覚した。
けどそんな花京院は俺の方を向いて、しっかり定まらない自分の意識を、なんとか俺に向けているのがわかった。
「…なぁ花京院」
こういうときは、どんな言葉をかけてやればいいんだろうか。
「お前はよく頑張った。お前がいなければ俺たちは、今頃DIOには勝てなかったはずだ。」
ありがとう。
その言葉を言うと、なんか瞳の奥がジーンとしてきがした。
「……そんなこと、ないよ…っ」
花京院の瞳からは、細い涙が流れていた。
「お礼を言うのは僕のほうさ…」
ありがとう、承太郎。
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あけましておめでとう!笑
20130101
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