詰め込み処


 pkmn/キバナさんと噛み合わない



遊びまくってそうな外見とは裏腹に実は素人童貞なキバナさんと、それを知らない押せ押せタイプな恋人のはなし

※ネタ小説です。







「キバナさん、いったい何時になったら抱いてくれるんですか」

私の質問に対し、すっかりキョトンとした顔をしているこの男…もとい、私の恋人であるキバナさん。
お付き合いを始めてから既に3ヶ月が経過しているが、未だに軽い軽いキス以上のことをしてこないのだ。ネット上では「あのモデルと噂になった」だの「ヤリ○ン疑惑」だのと好き勝手書かれているこの男、意外にも手を出すのが遅いタイプではあるらしい。
別に、愛されてない! などと思ったことは一度も無く、おそらく私は大事にしてもらっているのだろう。が、私も年頃の女であるからして、好きな男に手を出されたいとも思う。

「それともキバナさん、誰のことも抱かない系ですか?」
「いや…? オレさま、ファンには結構するぜ?」

今この男はなんと言ったか。 ファンには 結構 するぜ ?
何食わぬ顔で堂々と浮気宣言だろうか? お前の事、大事にしたいから余所で解消してきたぜ! ということだろうか?

「ハァ〜!? 私というものがありながらファンに手ぇ出してんですか!? サイテー!」
「手ぇ出すって、ファンサだろ〜このくらい」

ファンサの域を出過ぎである。ちょっとヘリコプターに乗ったらそのまま大気圏突破しちゃったくらいの飛び出しっぷりだ。
キバナさんのヤリ○ン疑惑は実話だったのだろうか。知らぬは私だけだったのかもしれないと考えると、つい見も知らぬ泥棒猫を心のままにブッ刺してしまう妄想が脳内をよぎる。

「な〜〜〜にがファンサですか! キバナさんのアホ! ボケ! ドスケベお兄さん! 性癖の宝庫!」
「何でオレさまこんなに悪口言われてんの!?」

この男本当に何が悪いのか理解していないように見える。なんだ、倫理観でも欠落しているのか?

「てかマジ、そこら辺の適当な女抱くくらいなら私の事抱いてくださいよ。マジで」
「え? 結構抱いてるぜ?」
「は?」
「えっ?」

いつ? マジでいつ抱かれたんだわたし。酒の勢いか? いや違う、私は生憎お酒は飲めない年齢だし、キバナさんもそんな私に無理やり飲ませたりするタイプのクズではない。たとえヤリ○ンクズであろうとも、法は守る男だ。
であれば、一体いつ私はこの男に抱かれたのだろう。

「全く記憶に無いんですけど」
「あー、改めてってなるとちょっと照れくさくて、寝てるときにこっそり」

こっそり…? いや、こっそりできるモンなの? 私は8時間ノンレム睡眠を貪る女だったの?
ていうか恋人にとって特別なイベントを、照れくさいなどという理由でこっそり済ますとはどういった了見だ。その快感は私だって味わう権利があるハズだ。

「初回から睡姦ってどういうことです?」
「スイ…カン…?」

言葉は知らずともやらかしてたって事でしょうね、この反応。
もしかしたら、もっと若い頃から女を切らした事がなくて自分からオベンキョウ(意味深)する手間とか要らなかったのかもしれない。モテすぎ男って怖い。

「分かってないでやってたにせよ、マジでヤバイですよキバナさん。ほんと人間性疑います」
「えっ…ゴメンな、そんなに悪いことだとは思ってなかったぜ…」
「お詫びとして早速今夜は真夜中の三発勝負でもしてください。どこぞのファンにブッ込むくらいなら私にブッ込んでくださいね」

この男が人として最低のヤリ○ンクズ野郎であっても、惚れた私が負けだ。
ならばせめて他の女のところに行かせないようにするのが私のできる唯一の対抗策だ。
私の言葉を聞いたキバナさんは突然目を輝かせ「三発勝負!? 今からでもいいぜ!」と元気いっぱいに返してきた。やはり欲求不満だったか。

「じゃあとりあえずシャワー浴びてきますね」
「シャワー? 終わった後のほうが良くねえか?」
「あっそういう趣味なんですね…なるほど、フェロモン感じたいってタイプの…なるほど、いいでしょう」
「シュミ? だってよ、どうせ汗だくになるだろ?」
「まぁ、そうですね。ビッショビショでしょうね」

きっと彼はセックス=スポーツ、みたいな思考回路なのだろう。まったく困った男だ。

「んじゃあスタジアム行こうぜ! 今日は誰も使用予定ねえからさ」
「まさかの野外ですか。アブノーマル極めてますね、了解です」




こうして溌剌としたキバナさんに連れられて無人のスタジアムに辿り着いた私は、目を輝かせたキバナさんに3対3のポケモンバトルを挑まれた。


ちなみにバトルは負けた。なんだってんだよ。



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