7-1・黒衣
「ちょ!ちょっと大丈夫!?」
かけよると意外と大きい。これでは女の子じゃない。大人の女だ。
えいっ!とひっくり返してみる。
「!?!」
―――――――――
久しぶりに俺はくさやを手に入れてウキウキだった。
白ごはん、大根葉の入った味噌汁。くさや。
質素だが実に健康的!
今日は休みだから珍しく昼に起きて料理してみた。ああ美味そう。
「いただきま「きゃーーー!?」
「えー・・・?」
最近事件が多いぞこのアパート。
見に行くか?
・・・だが断る!
俺は休むって決めたの。どうせ紺の野郎がどうにかするだろ!と箸をくさやにつきさしたその時。
『げぇえええ!?』
案の定紺の野郎が出てきたらしい、しかし何があったんだ。
『「鴉丸が女になったー!!!」」』
「うるっせーよ!おまえら馬鹿!?馬鹿だろ!!俺がなんで女になるんだよ!」
思わずカーテンをあけ、二階から外を見下ろした。
「『あ。』」
「あ。」
そこには確かに女の俺がいた。しかしそれは俺ではなく・・・
「ん・・・。」
三人が固まっていると、ばちっ!と鴉丸子(仮)が目を覚ました。
「…あらあらあらあら〜?なんで私寝てたのかしら?」
ぞわっ。
三人に鳥肌がたつ。
「?」
首を傾げて百花を見つめる。
「あ、あの、お姉さん誰?」
百花が恐る恐る聞いてみると人差し指をあごにちょん、とおき考える仕草をした。
ぞわぞわっ。
紺なんて白目むいてる。 「えっと、こちらに住んでいる由良百花様を訪ねて参りました。矢田鴉丸の許婚の矢田黒衣(やた くろえ)と申します。」
「は?」
止まった。すべてが止まった。
「・・・っきゃーー!!!」
そして今度は鴉丸が叫んだ。カーテンを締め、ガタガタと体操座りで震えている。
「・・・あらぁ?鴉丸様ったら。この矢田家の次期当主の黒衣が参りましたのに、ずいぶんな態度でございますこと・・・。」
「「次期当主ぅう〜!?」」
「ええ、わたくしは矢田家本家の一人娘でございまして。鴉丸は分家にあたります。」
「「へぇ〜〜〜。」」
普段ホストやってるから接触が少ないせいか出生に関してはわりと謎な男だったが、妖の世界でも血筋にこだわるのか。と感心してしまう。
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