6-7・油断大敵


昔、大型犬を飼っていたことがある。

ゴールデンレトリバーのランディという犬だった。 
いや、弟といっても良かった。

飼って来た日付と同じ十年後に死んでしまった。 

ランディはよく飛び付き、よく顔を舐めてきた。 


とても懐かしい



懐かしいが。 



相手が紺だし。ランディみたいに可愛がったら多分

『俺は犬じゃないぞ!』
って言われるに違いない。

「・・・。」

目の前には降参のポーズで寝ている紺。 

「・・・。」

狐もこんな風になるのか。 

「〜〜〜可愛い!」

我慢できずに、くしゃくしゃ!と頭を撫でてあげると少し驚いたようだったが、あわせてじゃれてくる。 

ああ、分厚めの耳が気持ち良い。
『ははっ!俺は犬じゃないぞ?』

やっぱり言った。でも楽しいみたいだ。 

「知ってるよー。あれ?紺なんか良い匂いする。」

『?そういえば。』

「顔が一番香りが強いみたい?」

顔を近付けて匂ってみる。 

「あ、なんか花の・・・。」

匂いだね。と言う前に口を塞がれた。人型の紺の顔が目の前にある。


いきなりすぎて、何も出来なかった。 


紺は顔を離した後一瞬だけ真っ赤な顔をしたかと思ったら、狐に戻って耳を伏せてそっぽをむいている。 

「・・・。」

この紺にとってはファーストキスだったりするのだろうか?と冷静に思ってしまう。 

「!」
今更ながら顔が熱くなってきた。 

でも、怒るタイミング逃してしまって怒れない。 

『・・・悪い。』

あああああ、謝るなー!とか思うけど、目だけチラチラ見てくる姿がランディみたいで可愛い。さっきのは犬に舐められたと思えばいいだろう。 

「・・・はぁ(溜息)、いーよ。気にしてない。」

『本当か?』

「本当に。」

『じゃあもう一「断る。」

流石にそれはちょっと無理だ。 
『けちだな。仕方がない。』

そういうと、狐のまま百花の頬をベロっと舐めた。 

まぁ、これなら良いか。
「くすぐったいよ。」と言いながら笑ってしまった。

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