6-4・お仕置き


「きゃあ!?」

衝撃波を受けた百花は倒れ、そして・・・。 


気を失ったまま屋根から落ちた。 

『ち、千枝!!!』

紺がしまった、という顔になり、慌てて百花を助けようとすると大きな影が百花を攫い、紺のわき腹をえぐった。 

『!?』
まるで鷹の爪痕のような傷口から、血が溢れていた。
紺はなんとか着地する。 そして見上げると

「・・・よぉ。目ぇ醒めたかくそガキ。」

黒い三対の羽根を持った鴉天狗が百花を抱き締めていた。

紺は三つの尻尾を持った大狐に変身した。そしてヴヴぅ、と歯を剥き出し唸る。 

『お前は誰だ!何故俺の名前を知っている!?』

「やぁれやれ。馬鹿狐はまだ夢のなかにいるようだ。目が醒めたとき、俺は知らねぇぞ〜っと。」

「なんだいっ!?」

縞が敷地の外から入ってくる。どうやら朝帰りだったらしい。あまりの妖気に慌てて帰って来たようだ。 
「おはようさん、縞。悪いけど、百花を休ませてやってくれ。事情は後で話す。」

「ああ、わかった・・・。わかったけど・・・!百花が悲しむようなことはしないどくれよ!」

「・・・保障はしねぇよ。」

「・・・。」

縞はトントンと屋根に登り、百花を抱き上げ部屋に向かう。 

『おいっ、千枝をどこに連れていく気だ!』

「千枝・・・?ああ、先々代の管理人か。聞いたことがある。」

『?』

「あの子は千枝さんの孫だ。」

『な!?』

「千枝さんは天寿を全うして亡くなったぜ。」

『・・・嘘だ!』

「なぁにが嘘だ!だ。てめぇは今、未来の馬鹿紺と魂入れ替えられてんだよ!」
紺が戸惑い妖気が弱った瞬間、鴉丸は紺を足で掴み、高い所へと飛んだ。


「びぃいいいい!」
と、懐から出した竹笛を吹くと、ぎゃあぎゃあと四方八方から鴉の鳴き声がしてくる。 

「よぉ馬鹿餓鬼ギツネ。百花に味あわせた痛み、死なないくらいに味あわせてやる………覚悟しろ。」

そういうと、鴉丸は紺を離した。

「くっ!」
紺は着地の為に態勢を整えようとしたが、大量の烏がそれを阻んだ。 

「やっ!?やめろ!」

攻撃をしてくるわけではないが、ぎゃあぎゃあとまとわりつかれ態勢が整えられない。 

そのまま地面へと体を打ち付けた。 

「かっ、はっ・・・!」

強く頭を打ち、意識が朦朧としている。 
なんでこんな目に・・・?千枝・・・。だから誰も信じたくなかったんだ・・・。 


「紺っ!!!」

千枝・・・? 
違う。千枝はこんな風にぐしゃぐしゃに泣きはしない。何があってもただ淋しそうに見つめるだけだ。

「あぁ、お前もこんな風に泣けるんだな・・・。」

ぼろぼろの体を抱き締められ紺の意識は消えていった。

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