6-3・幼い紺


・・・ガッシャーン!  


という破壊音に百花は目覚めた。 

「!?」

先程まで見ていた自分とよく似た女性と紺の夢も、ぶっ飛びそうなくらいびっくりした。 


どぉおおおん! 

音は隣から聞こえてくるようだ。
「あの馬鹿!」

急いでパジャマの上にカーディガンを羽織り玄関から出ると、隣室の玄関の扉がひしゃげていた。 


「百花!!?」
二階から鴉丸が見下ろしている。 

「鴉丸!屋根のうえに連れていって!」
百花がそういうと鴉丸は真っ黒な翼を広げ、二階から飛び降りて百花を抱き抱え急上昇した。 


バサリ、と羽が動くたびに強い風が百花を包む。 


屋根の高さになると、百花は風の中で目を少しずつ開ける。 

「紺!」

そこにはぼろぼろの衣服をまとった半獣の紺が立っていた。「紺!」
なおも名前を呼び続ける百花に鴉丸はきつく抱き締めて制する。 


「・・・あれは、誰だ?」
「紺よ!離して!」
「違う・・・紺だがあんなに幼くないはずだ。」
「魂が入れ替わってる!」
「?・・・!百花!?」

百花は烏丸の手を振り切って屋根を走る。

「紺!」

『・・・。』
静かに紺が百花の方に振り向いた。 

『千枝・・・?いや、違う。誰だ!』

強く、鋭い妖気を遠慮なくぶつけながら紺は百花へと近づいてくる。 

「つぅっ!(何これ!紺ってこんなに力が・・・?)」

「何なんだ・・・、何なんだよ!この世界は!何故こんな姿になっちまったんだ!山はどこにいった。海は、川は!?」

百花は気付いていた。先程まで見ていた夢の世界の紺の魂が現在にきているのだと。 

「紺!ちゃんと説明するから落ちついて!」
百花が駆け寄ろうとしたその時
「来るなっ!」


力が、百花を襲った。

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