4-1・満月荘の神木(親睦)会
「いやー、あの時はさすがのワシも笑いじわが無くなるくらい驚いたわい。」
と語るのは一階7号室の福田 華祝(ふくだかしゅう)。
「まったくね。まさかこんなことになるとは思わなかったわ。」
横に並んで同意したのは猫又の墨色縞。
『酔ってたからってさぁ。怖いもの知らずだなー。』
「さっすが西日本の走り屋。」
少し離れてうなずき合っている二人は紺と鴉丸。
その中で、二階六号室の住人、李紅龍は黙っていた。
…………。
暫くアパートを眺め沈黙が支配する。
「「「『で、何で私(僕・俺・ワシ)等まで吊されてんの?』」」」
彼らは今、敷地内の大木(神木)に吊され中だった。
にょろり、と紺の首に巻き付き頭の上で一休みしている白蛇がふああ、とあくびをする。
『まーもーる。くすぐってぇんだけどー。』
紺は首をもぞもぞしながら白蛇に声をかけた。
「いいじゃん。僕はここが気に入ったんだ。」
はー…。と紺はため息をついて改めて周りを見る。
化け鴉、猫又、妖狐、福の神、龍を吊せるのはあの人しか居ない。
百花の母。
真の大家だった。
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