まだ語る
『でも、誰も由良に触れる事は出来なかったな。にゃーにゃーがいくら群がっても。』
「にゃーにゃー?猫か?俺猫好きだけど。」
『違うよ。にゃーにゃーは茶屋で働くお姉さん達のこと。』
*にゃーにゃー(若い女性)
「まじでか。俺もてもてだったのか。」
『???よくわからないけど、そんなものだからいろんな茶屋を寝床にして働いてたんだよ。』
「うわ贅沢ー。」
『別ににゃーにゃーに手をだすわけでも無し、由良について来る客はいつも大盤振る舞いだってことで、店側は招き猫っていってたな。』
毎日泥だらけでフラフラやってきてご飯と寝床もらって。でも無愛想、無表情で。
むしろ野良猫じゃないか。
撫でようとすると逃げていくだなんて。
「大体わかった。次は良のことを教えてくれる?」
『…俺は、うーんと。いわゆる妾の子ってやつで。茶屋の娘の子供なんだけど。』
「な、なんか聞いちゃいけなかったか?」
何となく予想していた展開に焦る。
『いや、ここの皆は知ってるから。えんじょもん(よそ者)には知られないようにしているけれどね。』
それに対してケロッとしている良に俺は安心した。
『前田って名乗るときは、茶屋町の取締役達の会合とかでかな。えんじょもんだったら大名とか。後は由良くらい。』
「若いのにスゲーな。」
『あ?俺もう14だぜ。』
「いやいや、充分若いから。俺22歳だし。」
そういうと目をかっ開いてびっくりされてしまった。
夜(よさり)、何かまずかった?
- 12 -
[*前] | [次#]
ページ: