真っ青でした
正式名、合成ウルトラマリンブルー。
すごい名前だが、当時群青というのは富の象徴であり、武家の繁栄を表すという意味で使われていた。
鉱石のラピスラズリはあまりの貴重品だったので日本には輸入されなかったが、合成ウルトラマリンブルーが開発され、それが輸入された後に茶屋町特有の色壁に使用されることになる。
「はぁああ〜、本当に真っ青だな。」
群青の間に入ると目がチカチカするが、モダンで現代っ子の俺には少し安心できる色つかいだ。
『えーっと、由良っていうとごちゃごちゃするから京介って呼ぶぞ。』
「あ、それ助かる。」
『それで京介、お前自分の事どれくらい知っている?』
「う〜ん、由良としては全くわからないけど、京介としてはこれから先の、全く違う世界から来たんだよね。」
『まて、全然意味がわからない。じゃあ体は由良だが、中身は京介って事なのか?それって憑きものじゃねーか!俺てっきり陽気のせいでぼけただけかと…!』
凄い剣幕で詰め寄って来る良に後退しながら反論してみる。
「ちょっと!俺を悪霊扱いしないでくれよ。俺の話聞いてほしいんだけど。」
そういうと、しょんぼりと俯く良。あ、つむじが見える。
うっかり目の前の頭を撫でてしまう。ちびっこ好きなんだよ俺。
上目遣いでこちらを見てくる良は少し照れているようだった。
夜。明かりはろうそくと油だけ。部屋は空より青かった。
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