小説 | ナノ

だからお前ら小学生か。


みょうじなまえという男がいる。
秘密結社ライブラの構成員のひとりで、情報収集を専門にしている。
かつて紐育であったヘルサレムズ・ロットには、異界人も多いが、どちらかというと白人や黒人が多い。そんななかで生粋の日本人の彼がこの街に馴染み、目立たず、身分を明かさず情報を集められるのか、同僚であるザップ・レンフロにはわからない。日本人の象徴ともいえる黒髪を金髪に染め、襟元の空いただらしないスーツ姿でライブラ本拠地に現れては、けだるげな様子で何やらザップが番頭と仰ぐスティーブン・A・スターフェイズに資料を渡したり話し合ったりしている。
首元に見える赤い鬱血に、どんな方法で情報収集しているのかわかって、羨ましいもんだと他人事のように思って、それで終わり。ザップとなまえの関係なんて、その程度のものだった。

その光景を、目にするまでは。

「えーっと、ザップくん、だっけ」

「なあに? なまえくん、ザップと知り合いー?」

「ウッソ、なまえくんとクズのザップが? 想像つかな〜い」

「接点なんてあるの?」

きゃはきゃはとなまえにまとわりつき、しなだれかかってはザップを罵倒しているのは、ザップがかつて援助してもらっていた――とどのつまり、ヒモ生活をしていた時に世話になった女たちである。色目を使い、体をなまえに押し付けて誘惑しつつザップを罵倒するという難題をこなしている。おい俺にはそんなことしなかっただろうが。どの女にも雑な扱いばかりされていた記憶が蘇り、苦い気持ちでいっぱいになる。あとしょっぱい。しょっぱいよママン。
思わず顔をしかめていれば、はは、となまえが誤魔化すように笑った。どうしてかザップの方を見もせず、女たちに誘惑されるでもなく、なすがままになっている。たわわな胸の谷間に腕が埋まっている。並の男であれば下半身に反応がありそうなものだが、遊び人然としたなまえはやはり遊び慣れているらしい。動揺もせず、女たちに言葉をかけた。

「仕事先でちょっとね。名前知ってるくらいで、ちゃんと話したことはないんだけど」

「へえ、そうなんだ〜意外〜」

自らが可愛く見えるであろう角度で小首を傾げる女に、そうなんだよ、となまえは返す。水面下、なまえに気付かれないように行われる水面下の熾烈な戦いに、ザップの虚しさは増した。俺となまえの何が違うってんだクソッタレ。ザップとて一応は色男の部類に含まれるため、最初の頃はそれなりの扱いをされてきた。しかしザップの中身が露呈する度、女たちの扱いは雑になっていったのだ。
中身か。中身がアカンのか。ギリギリと悔しさに歯ぎしりしていると、不意になまえに目配せをされた。女たちにはわからないようなそれに、ザップはパチパチと瞬きを繰り返す。ザップが気付いたことに気付いたなまえが、うっすらと笑みを浮かべた。もしかして、今から『仕事』なのだろうか。それならば邪魔してはいけないと、何とかしてその場から離れようとしたザップの思考は、すぐに一時停止することとなった。

「あ、なまえさん。お待たせしました」

「ああ、いや。待ってませんよ、大丈夫です」

「――――!?」

さりげなくまとわりついていた女たちの手から逃れ、エスコートするようになまえが手を差し出す。差し出された手に戸惑い、顔を赤らめながらその手を取ろうとした彼女は――今、ザップが狙っていた女だった。ザップの必死のアプローチにも応えてくれない彼女が、今、目の前でなまえと手を繋ごうとしている。

そこまで考えて、体が勝手に動いた。
差し出されていたなまえの腕を掴み、そのままダッシュでその場から離れる。女たちを放置して、ひたすらに走り続ける。後ろから戸惑いの声や驚きの声、その他なんかもろもろ聞こえてくるが、ザップの知ったことではない。なまえなど苦しめばいいのだ。先ほどまでいた場所から遠く離れた路地裏に入る。人の気配がないことを確認し、なまえをそこに押しこんだ。

「ちょっ……おれ、非戦と、うえ、まじ……っ」

おえええ、と壁に懐き、頭を下げてえずくなまえを、ザップは見下ろした。生え際が黒い。このままではプリン頭になりそうだ。どうして染めているのかと思うが、似合っているから構わないのかもしれない。俯くなまえのうなじに相変わらずの赤い鬱血と――噛み痕と見つけて、ザップは思わず息をのんだ。どんだけ激しい女と遊んでんだよ。そういえば、なまえはザップの本命と仲よさげにしていた。あれはいったいなんだったのか。やめてくれ、彼女は純粋なのだ。なまえのようなヤリチンが相手をしていい相手ではないのだ!
思いっきり自分のことを棚に上げてザップは呑気にしている時ではないと思い至る。ようやく息が整ったらしいなまえが顔を上げる前にその胸倉を掴み、強制的に視線を合わせた。

「オイ。なにイライザちゃんに手ぇ出してんだ」

「は?」

「イライザちゃんに手ぇ出したらぶっ殺すぞプリンちんこ!」

「プリ、は? え?」

イライザとはつまり、ザップの本命だ。何度声をかけても恥ずかしいのか断られてしまう。恥ずかしがらなくてもいいのにと思うのだが、イライザは毎回毎回、申し訳なさそうに断りを入れてくるのだ。もしかして仕事が忙しいのかもしれない。そうであれば、彼女の職場の上司をシメるべきだろうか。彼女もザップのことを少なからず思ってくれているに違いないので、早いとこデートにしゃれ込みたいとこだ。

「つまり絶賛口説き中なんだからお前は引っ込んでろ」

「え、ザップくん。まじ?」

「まままままままじで悪いかー!」

ザップの妄言を交えた言葉に、なまえは目を見開いた。その様子がなんとなく不愉快で睨みつければ、はあ、となまえは溜息を吐いた。

「悪いよ。今回は最悪。銀色の猿ってもしかしてザップくんだったのかな」

「はあ!?」

「悪いけど今んとこはまだなんも言えない。けど、あー、しまったな。ザップくんに声かけたの間違いだったかも。いやどうかな、功を奏したのかな。くそ、わかんねえ」

頭をガシガシ掻いたなまえが、天を仰ぐ。くそ、と毒づくなまえに、状況を把握できずにイライラしてくる。なんなんだ、まどろっこしい。自分だけがわかってるみたいな反応は止めろ。そう言ってやりたくてもなまえの消沈ぶりに、なんとなく悪いことをしている気分になる。

「ンだよ、わかるように言え」

「つまりオレは仕事中だったわけ。オレの仕事はわかるでしょ?」

「仕事」

鸚鵡返しつつ、思わず視線が下がる。ズボンのジッパーの奥を想像してしまって、うげ、と舌が出る。野郎のそこなんて頼まれたって見たくない。

「その反応はひどくねえ?」

「そうかあ?」

体を使って情報を引き出したい相手を籠絡し、情報を引き出す。それがなまえの仕事なのだろうと、ザップは予想をつけている。そしてその予想は、間違っていないはずだ。
つまり。

「いや、お前今プライベートだろ。そうに違いねえ。仕事と偽って俺とイザベラちゃんと引き裂こうなんざ10億年早えんだよ!」

「はあ!? まじで言ってんの!?」

「おーおーまじだ! まじもまじだ! この腐れヤリチン野郎が! 俺を出し抜けると思うなよ!」

「うわあああああああああああなんかもうめんどくせええええええええええええええええええええええ」

頭を抱えてしゃがみこんだなまえのつむじを、ザップは再度見下ろした。やはりプリン頭である。なまえは日本人の割に身長が高く、ザップと並ぶほどだ。接点も早々ないため、こんな風になまえの頭頂を見るのは初めてだった。色また染めるなり元の黒髪に戻すなりしろよ。大体髪が黒なら体毛も黒ってことだろ、てことは陰毛も黒いはずだろうが。陰毛まで染めてんの? あ? なんなのそこらへんで女子の気を引いてんの? やだ! なまえくんのフケツ! ヤリチン野郎! プリンチン毛野郎! イザベラちゃんが可哀想でしょ〜近づいちゃだめだよ〜!

「寒気がするんでそのオカマ声止めてもらっていいすか……」

「あ?」

「キモい」

「うるせえ」

睨みつけるザップに構わず、なまえは立ち上がり、壁に背を預けてザップへと視線を向けた。呆れの混じったその視線に思わずたじろいだが、負けてたまるかと持ち直す。

「ヤリチンでもなんでもいいんで、おれの邪魔しないでもらえます? あとイザベラは諦めて」

「呼び捨て!」

「そういうのは今いいんで。あとおれのことヤリチンって罵倒するけど、ザップくんだってヤリチンでしょ。あそこにいたイザベラ以外の子とも関係持ってたくせに」

いやよくねーだろ。俺だってまだちゃん付けなのに。呼び捨てできるほど親密なわけか?そういうアピールか? 自慢か?
苛立ちが止まらない。ああ、愛しのイザベラちゃん。早く目を覚ましておくれよ!どう考えたってコイツより俺の方がいいだろ! いいに決まってんだろ!
なまえの差し出した手に手を重ねようとしたイザベラの顔を思い出す。頬を赤らめて、恥ずかしくてうれしい、そんな顔だ。くそが。

「歯型やキスマークつけて職場に来るお前ほどじゃねえ」

「あれはたまたま。情報抜き出すために毎回マクラする訳ないっしょ」

「ハン、どうだか」

「真っ黒ちんこのザップくんには勝てないさ。使い込んでるもんね?」

「お前の黒さには負ける」

「いやいや、ザップくんの方が」

「いやいやいや、お前の方が」

「いやいやいやいや」

「…………」

「……………」

沈黙。
お互いが譲らず、どれぐらい睨み合っていたのか。

「やだあ、もう、ダーリンったら〜」

「ははは」

ガチャリ。
人気のないはずの路地裏。なまえが背を預けた建物から、異界人とヒト型の同性カップルが出てきたのが、恐らくは運命の分かれ道だった。
そこで引き下がっておけば、ザップの今後の命運は違ったものになっていたに違いない。

「そこまで言うなら」

「確認してやろうじゃねーか」

「望むところだっての」

そうして先を争うように、二人して建物――モーテルへと踏み込んだのだった。





適当な部屋をとり、その部屋まで無言で足を進める。どう考えてもセックスするような雰囲気でもない二人に、すれ違う恋人たちが戸惑っていたが、そんなことはザップにもなまえにもどうでもよかった。答えを知るのが先決だ。

目的の部屋に着くと、ジャケットをベッドに放り投げ、自らのベルトに手をかけた。かちゃかちゃとベルトの金具の音が部屋に響く。このあたりでザップの頭も冷え、我に返っていたが、ここまで来てしまっては後には引けなかった。ベルトを床に放り投げ、ズボンのボタンに手をかける。
少しの躊躇いからなまえへと視線を向けると、なまえはすでにズボンを脱ぎ捨て、下着に手をかけていた。くそ、と内心毒づいて、ザップも仕方なくズボンのボタンを外した。ズボンを脱ぎ、下着のゴムに手をかけたときに、視線を感じた。誰からの視線か、なんて明白で、振り返ればシャツ一枚の扇情的な姿で、なまえはベッドに腰を掛けてザップを見つめていた。

知らずのうちにごくり、と喉が鳴る。扇情的。そう、今のなまえは、扇情的だった。男には性的興奮を抱かないはずのザップが、生唾を飲んでしまうほどには。
真珠色の肌をした足を組んでいるから、局部は隠れている。けれど長めのシャツから尻は見えていて、その肌も、形も、ザップが抱いてきた女たちと勝るとも劣らない。

「脱がないの?」

ニコリ。
さっきの悪態はなんだったのかと、首を傾げてしまうほどには態度が急変している。何かのスイッチが入ったとしか思えない。そして、同じようにザップのスイッチも入ってしまった。まるで童貞のように、体が緊張してガチガチに固まってしまって動かない。

「おれね、なんだかんだで今の仕事が好きなんだよね」

腰を上げ、なまえが一歩、ザップに近づく。白いシャツがふわりと揺れる。局部が見えそうで見えなくて、視線がそこにくぎ付けになる。
後ずさりかけるも、伸ばされたなまえの指先が頬に触れると、体が固まってしまう。動けない。指先がザップの黒いインナーの上から胸をなぞり、下へと下りていく。下着のゴムに指先がかかり、そっと下ろされた。その様子を、ザップは見ているしかできない。

「気持ちいいことが大好きだからさあ、それでついでに情報ももらえるなら万々歳じゃない?」

もちろん、寝る相手は選ぶけどね。
下着が下ろされて、ザップのペニスが露わになる。蜜を垂らし、熱とかたさを持つそれは、ザップの興奮の表していた。

「やっぱり、ザップくんのが黒い」

ザップの前に跪いたなまえが、ザップのペニスへと舌を伸ばす。与えられた熱にザップは息を飲んだ。気持ちいいことが好きだというなまえの舌は、容易くザップの快楽を引き出す。簡単にいってたまるかと、くだらないプライドだけがザップの面目を保たせた。挑発的な視線がなまえから送られる。セックスとなれば異性ばかりで、同性とセックスなんて考えもしなかった。なまえ以外の男にこんなことをされたら――される前に、そいつを殺していただろう。
なまえだから。なまえ、だから?
与えられる熱に、快楽に、思考が停止する。いきたい。いけない。思うままに突き入れたい。ザップは、口内よりももっと気持ちいい場所を知っている。その場所が女とは違うところにあり、その差がどんなものか知らないが、知りたいと思えた。

なまえの口内からペニスを引き抜くと、腕を掴んで立ち上がらせた。抵抗もなくなまえは立ち上がり、ベッドへと突き飛ばすザップに笑みさえ向けた。

「オンナノコとのセックスも好きだけど、オトコとのセックスも、気持ちよくておれは好きだよ」

「そうかよ」

突き飛ばした際に、なまえのシャツがめくれていた。舐めていただけでも興奮したのか、なまえのそれはそそり立っていた。相当使い込んでいそうなイメージだが、どす黒い訳でもない。一般的とも言える色なのは、セックスの相手が女だけではないからだろうか。そう考えて、眉間に皺がよる。何故か、なんて、今はどうだっていい。
黒のインナーを脱ぎ捨てて全裸になると、なまえのペニスを乱雑に掴む。力加減も考えず適当に擦りあげれば、はじめのうちは痛みに呻いていたものの、すぐに声に艶が混じり、なまえは呆気なく達した。はあはあと荒い息を吐くなまえには、余裕がありそうにも見える。なまえの吐き出したそれを指先に絡め、なまえの片足を掴むと、なまえはくすりと微笑んだ。

「ソコ、使うって知ってるんだ」

「俺にも色々あったんだよ」

「ふふ」

楽しげな様子に、変な気まずさを覚えていると、なまえは自分から足をM字に開いた。尻たぶをを自分で左右に割り、その部分がザップに見えるように示す。

「気持ちいいことは好きだけど、痛いのはいやだから」

だから、優しくしてね?
なまえの一言に舌うちし、精液で濡れた指を突き入れる。浅いところを抜き差ししていると、なまえからすぐに甘い声が漏れる。なまえの吐き出したものだけでは足りず、ザップは枕元に置かれていたローションに手を伸ばし、直接そこに流し込む。
すべりのよくなったそこに指を入れ、慣らしていく。使い込まれているらしいそこはザップの指を抵抗も少なく受け入れた。熱い中を探りながら、なまえの一番感じる場所を調べる。男にだけ存在するらしい前立腺とやらの心地よさを、ザップは片鱗だったが知っていた。昔の女と試した性感マッサージが、こんなところで役に立つとは思わなかった。

「ああ……っ!」

一際高い声がした場所を探し当てると、ザップは引き抜き、なまえのシャツを引き裂いた。シャツのボタンがあちこちに飛ぶさますら、なまえは楽しげにしていて、気にした様子すらない。
全てをザップの前に晒したなまえの体で、一番目につくのは、ピンク色の乳首に刺されたピアスだった。青い宝石があしらわれたそれは、誰かの占有権を主張しているようで、苛立ちが増す。捻りあげると、なまえは切なそうに喘いだ。

「アンタって、Mだよな」

「ひあ……っ、ちが、」

「どこが。こんなもんつけといて、今更」

「ち、が……っ、それ、あさおきたら、つい、あっ、す、たー、ふぇ……っ!」

「へえ? 何言ってるかわかんねえけど物好きもいるもんだ。そもそも外さずつけたままなんだから、やっぱアンタMだよ」

「あああああああああっ!」

なまえが乳首に気を取られている間に、ザップは痛いぐらいに張りつめたそれをなまえのアヌスに宛がい、少しの逡巡もなく突き入れた。慣らしてあったとはいえ、指とは異なる質量に、なまえの体が弓なりに反る。反ったと同時に突き出された乳首と、そこに光るピアスに食らいつく。ピアスを舌でいじめるようにしゃぶりつきながら、非戦闘員に相応しい、筋肉量の少ない体を抱き、奥へ奥へと腰を突き入れる。
がくがくと震えるばかりのなまえの腕や足はザップに絡みついていたものの、回数を重ねる度に力なく放り出されるようになった。角度を変え、体位を変え。何度も最奥を目指してなまえの体を穿った。猿のように、馬鹿みたいに。ザップはなまえを抱き続け、抱き潰したのだった。





「ぜーーーーーーーーーーーーーったいザップくんのが黒かった!」

「いや、アンタだって似たようなもんだろ!」

「いや! 絶対ザップくんのが黒いね! ゴリゴリに黒い!」

「違いますぅ〜俺のは肌が黒いからですぅ〜」

「それもあるかもだけど、使い込まれた黒さもあったって! 絶対!」

秘密結社ライブラ。
その本拠地で、珍しい組み合わせに、そこにいた人々は思わず首を傾げた。ザップ・レンフロとみょうじなまえの接点は今までなかったように思えたし、同じような系統――種類は違えどスケコマシ――であるからこそ、お互い接触を控えていたような感じさえしていたのに。
いつの間に仲良くなったんだ? 気になるからこそ、訊ねたいところではあるが、口を挟めないほどの言い争いに、二人の様子を窺うことしかできない。

「ザップ、なまえ。子供みたいに騒ぐのは止めなさい」

白熱する論議に水を差したのは、ライブラの参謀ともいうべき人物、スティーブンだ。二人共思うところがあるのか、ぴたりと口論は止んだ。呆れた視線を向けられて、ザップは気まずそうに眼を逸らし、なまえは愛想笑いで誤魔化している。

「はあ。それで? そんなに白熱する議論のお題はなんだったんだい」

溜息と共に吐き出された質問に、ザップとなまえは顔を見合わせ、仲良く声を上げた。

「どっちのちんこが使い込まれて黒いか、です!」

絶対にコイツですよね!?
お互いを指差してスティーブンに詰め寄ろうとする二人の姿に、一連の流れを見ているだけだったレオナルド・ウォッチは静かに呟いた。

「だからあんたら、小学生ですか」

くっだらな。
その場にいた全員が、胸の中で声を揃えたのだった。






「とことで、ザップ」

「はい? なんスか、スターフェイズさん」

「なまえのピアスは可愛かっただろ?」

「え、ああ……えっ?」

「あれでもうちの精鋭なんだ。抱き潰すのはほどほどにしてくれよ、兄弟」

「え、えええええええええええええええ」



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