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この場所は結構お気に入りなのだ。
高いので、ある程度街が見渡せる。それに人々の笑い声も聞こえるし、なんといっても、空に近いような気がした。

ある人が、空を飛んでいたのを思い出す。嗚呼もしかしたら、自分も彼のように飛びたいのかもしれない。というか、彼に、近づきたいだけな話だろうけど。
馬鹿だな、と自らを笑う。


苺味の飴を棒を引っ張って口から離す。未だに口内は甘い。流れてくる酸素も甘い気がした。


息を大量に吸う。止め、吐かずに口一杯にためる。
瞼を閉じ、考えるのは、やはり彼で。


(おはよう、元気か)
(これでよかったのか)
(おまえはそれで幸せなのか)


ぷは、と我慢出来ずに口が開く。
口の中に漂ったその空気は、外へ消え、新しくまた、入り込んでくる。
悲しくなった。
すりぬけていってしまうのだ。
触れられない、見ることもできない。

嗚呼、代償なのか、と。

あの時、そのままのおまえでいてくれ、と言えたらおまえは、
おまえはこのすぐ横で、あの綺麗な笑い顔で微笑んでくれていたか、なんて。


息を吸った。それもすぐに出る。


「にげないでくれ、佐助、」


久しぶりに食わえた苺は、こんなにも塩っ辛いものだっただろうか。
なんだか世界が歪んで見えた。











またやっている、と目の前の彼を見つめる。
まだ名前を聞いた事はないが、彼を自分は知っていた。
それも随分変わってしまっているようだ。
毎日とあの高い塀に登り座り込んでは、足を宙ぶらりんに投げ出し、棒付きキャンディー(だいたい苺味だがたまに変わっている)を食わえ、時間がたつとそれを口から外し、息を大きく吸い込む。

前の世で、そんな彼が言っていたのだが、どうやら彼の想い人は来世では空気になるといっていたらしい。
つまり今の世だと思うのだが、それがどうやら、叶ったようだ。
おめでとうだなんて言えるわけがない。

(ほんと、変わっちまったな、真田も、忍の野郎も)

ずくりとないたので、眼帯の上から右目を掻く。変わっていないのは、どうやら自分だけかもしれないな、と思わず笑った。




と、思ったがそうでもなかった。
ひとつだけ忘れていた。
変わらないものがあの真田の中にある。

それはあの忍という存在が、彼を生かしているということである。
忍が死ぬ直前、真田を生かす為に自らを盾にしたように
その前まででは、真田の為に全力で尽くしたように、
忍という存在は、今だに真田を生かしているのかもしれない。
見えず、触れず、愛する事も出来ずになったあいつはそれでも、真田にとっては必要不可欠で求めずにはいられない存在なのだ。


一生息をする限り、それは求められるだろう。
もしかしたら、それが、あの忍の望みだったのかもしれない。


はっと笑えば、その音は空気に溶け込み、やがては消えた。
やつがどんな表情をしたのかは、定かではない。





















ていう夢をみました。←
まぁ、すごく脚色しましたがね!
筆頭はなんかつけたしてみました。というかこんな終わり方っていいんか‥‥だめだろ‥‥らぶらぶぷりーず‥‥



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