!BL(多分幸←佐)
!さすけが死にかける
!血表現あるけど別に暗くはない

















例えば。
人間は死ぬ直前になると、今までの記憶が全部思い出として頭の中でフラッシュバックしていき走馬灯のように思い返されるという。

「あっはー...うっそでしょ...」

まさか、死にかけるなんて毛先ほども思ってなかったし、絶対にないと確信を常に持っていたはずだった。
それ以上に、うかつだった。
情報が甘すぎたのだ。松永が伝説の忍を雇っていたという話は聞いたことがなかった。
(ということは、おれさまが新しい情報を持ってるということだ...)

ならば、必ずこの体を主人の元へ運び、この口で報告せねば。ずるり、と重い己の体を精一杯に引きずる。
鳥にぶら下がる気力もなければ、歩いて帰れる距離でもなかった。

(どうするよ...おれさま...)

血の匂いがぷうん、と鼻にかすめる。顔をしかめながら、佐助は苦笑した。おれさま死にかけてるんだ、としみじみそう言う。


このまま倒れて目を瞑れば、噂通りに思い出が走馬燈のように駆け巡るのだろうか。
そうなると、それはすごくいやなことだと佐助は思う。
生まれてこの方、苦労しかしていないと自覚がある。幼き日は辛い修行の日々。いまだにその頃の傷が古傷となって治らないのが多い。体の殆どに刻まれている。
青年から今までは、貧乏生活。主のおかげで休みなし残業あり給料なしに近いという地獄に近い働きをしていたのであまりいい思い出がないような気がする。
ああ、つまりはおれは苦労人なのね、なんて呟いてみるが、どうしてこんなに辛いのにあの主から自身は離れないのだろう、と疑問がふわりと浮いて出てきた。そういえば、何故なのだろう。考えたこともなかった。
考えてみれば、すごく自身は損ばかりしている。これでいいのかおれさま。いやいやダメでしょ、再就職先考えなければ、なんて軽口叩いていれば、足に力が入らなくなり、虚しくも倒れてしまった。起き上がれるような力が己にはもうない。

(おいおいマジかよおれさまー...貧乏のまま死んじゃうのかよ...)

ああどうせならさ、黄泉の世界では楽になってあの主にとらわれずに金にも困らず楽しんで生きていきたいなーそれなりに。あ、死んでるから生きてはいけないのか、そっかそっか。
佐助はそう心の中でそう思いながら、静かに瞳を閉じ、視界を闇で覆った。
さぁ、くるがいいさおれさまの今までの記憶、走馬燈のようにさぁさぁ、なんて言っていれば、瞳の裏に映ったのは自身の記憶でもなんでもなかった。

暗闇に見えたのは、むかつくほど綺麗に笑った己の主で。

かなり佐助は驚いた。驚いていると主が言うのだ。「佐助ー団子はまだかー」と。もうちょい待ってなさいな、と言おうとしたところで佐助はいやいやいや!と首を振った。
「なんであんたが死ぬ間際でてくるのさ」
嫌がらせか!と叫びたくなった。そうかこいつは死ぬ間際まで働かせようという魂胆だな。なら目瞑らんで開けて死んでやるこのやろう!あんたなんかしりません!と佐助は思い、最後の力を振り絞り精一杯目を開けた。
そして映ったのは、凄い形相の顔をしながら全速力で走って近づいてくる主で。
いやいやいやまってくれ、と佐助は力なく思った。
寝ても覚めても出てくるのかよ、どんだけおれさまをくるしめたいんだ、と毒づくが、声にはならず。
死ぬ間際まで離してくれない主にため息をつきたいが、もう体中が痛くてため息すら出来なかった。
主は、己の体を抱きしめた。
耳元ではうるさい声が己の名を呼んでいる。うるさいと思いながらも、矛盾して心地よいと感じた。
返事をせよ!と言われたものだから、佐助は「はいはい」と言って、それのせいで残りの力全部使い果たしてしまい、佐助は深い闇に包まれた。












3日振りに目を覚ませば、主が抱きついてきて離してはくれなかった。
佐助佐助佐助さすけさすけさぁぁすぅぅくぇええ゛!!と頬ずりしながら抱きつき泣く主にウンザリしながら、それでも嬉しく思い佐助は頬を緩ませた。

「生きていてくれてまことによかった!さすけぇぇぇえ!」

そう叫ばれたものだから、思わずうかつにも佐助は死ななくてよかったと感じてしまった。

(あれ...?おっかしいな)

あの時、この主人から離れたいと思ったはずなのに、どうして腕の中にいるときは離れたくないと感じてしまうのだろう。
もしかしたら、と佐助は思い赤くなる。
だとしたら何もかもが辻褄が合うではないか。
主は、「佐助どうした?」と顔を近づける。
そして佐助はぼんっ、と音を立て、また倒れてしまった。
寝ても覚めてもあんたしかうつらないのは、
離れたいのに離れたくないのは、
うるさいのに心地よいのは、
大嫌いなのに大嫌いなのに





大好きなのはきっとあんたに
恋わずらいしているからだ!
(あんたのこと好きなのかもしれない!お馬鹿さん!どうしよう!)










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